2025年03月07日
トリーター:園山

水族館研究会に参加してきました!

一般社団法人日本水族館協会の事業の一環として、一年に 1回水族館の飼育員を中心とした研究会をおこなっています。今年度は 3月 5日から 6日までの 2日間で開催され、私も参加、発表してきました。
水族館の役割の一つに研究があります。水族館の研究は実にさまざまな分野におよびますが、イメージしやすいのも、実際におこなっているのも、学習について、来館者について、飼育設備について、飼育している生き物についてなどが主なところでしょうか。

今回の私の発表も例にもれず、生き物のこと。担当しているアオウミガメについての発表をしてきました。この発表をするきっかけは、これまで当たり前にやっていたことが本当に正しいことなのか、根拠があることなのか、疑問を持つきっかけがあり、それを内視鏡用いて調べた結果でした。

どんなことでもそうだと思いますが、前任者がやっていることは、その内容、手段にきちんと理由があることがほとんどの「はず」です。少なくとも、たまたまでない限りはいままでそれでうまくできた実績から、その方法を選択しているはずです。しかし、その意図を認識しないままにことを進めると、物事の本質を見失いかねません。逆に、その本質をきちんと認識することで、いや、その本質を理解することでしか、ものごとを本当の意味で改善することには繋がらないと考えています。
もちろん、これまでやって来たという理由だけで、それが正しいと考えるという安直な話ではありません。なんとなくそうなっただけのものもあるはずです。前任者を肯定する、否定するという話ではなく、現状に至った経緯も含め、きちんと理解する必要があります。

今回の研究内容は、これまで続けて来たし、うまくいっていそうではあったけど、本当にそうか確証が無かったというものでした。

当たり前ですが、水族館で飼育している生き物は人間が認識する言葉を話しません。ジェスチャーもできず、意思疎通をするのは困難です。生き物ですので、人間と同じく、体調が良い日もあれば、悪い日もあります。そのため、生き物に直接かかわる作業に機械的にできるものはほぼありません。私たちにできることは生き物をよく観察し、変化に気付くこと、現在はただ目視で見るだけではなく、さまざまな方法で「みる」ことができます。
今回でいえば、内視鏡がその「みる」手段でした。

堅苦しい感じに書きましたが、私たちトリーターはただ生き物を飼育しているわけでも、ただショーをしているわけでもありません。

日々考え、試行錯誤し、生き物のため、ひいては水族館に来ていただくみなさんのため、真剣に、そして楽しく研究に取り組んでいます!(時に壁にぶつかるときもありますが)

最後に集合写真を。
写真は今回の研究会で基調講演をしていただいた、日本大学准教授の間野先生(中央)と、それぞれ発表・実行委員の役割を終え、一息ついたみんなです。

これからも慣習にとらわれず、物事の本質をとらえ、より高いレベルでの飼育、管理技術を持てるように精進します。

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