2025年03月15日
トリーター:笠川

えのすい20周年 ~生き物たちへの感謝~
パシフィックシーネットル

クラゲファンタジーホール、正面奥、一番大きな水槽、視界いっぱいに広がるパシフィックシーネットル。黄金色の傘に光が透過し、口腕と触手がすらっと伸びる。力強さと繊細さ、毒々しさも感じながら、水中を穏やかに漂う浮遊感。ずっと見ていたい、そんな魅力的なクラゲです。

この大きさの水槽にこの数のパシフィックシーネットルを見られるのは他にはないかと思います。
多くのお客さまが写真にも収めてくださり、みなさんの思い出のひとつにもなっているクラゲではないでしょうか。

また、パシフィックシーネットルは、約 70年続く旧・江の島水族館~新江ノ島水族館のクラゲ飼育の中でも特別なクラゲのひとつで、モントレー湾水族館との生物交流の中でポリプを譲渡していただき、当館が国内で初めて展示をおこないました。今でもそのポリプを大切に維持しながらクラゲを育てています。

展示しているパシフィックシーネットルは 立派なサイズですが、最初は3ミリほどの乳白色のエフィラ幼生です。約6~8か月かけて大きくしています。とても大変です。
今から9年ほど前、一時、なかなか新しい世代が育たず苦労した時期もありました。そのクラゲごとに思い入れと思い出があります。


どの生き物の担当の人も感じているかと思いますが、私はクラゲをきっかけに、本当にいろいろな人たちとつながることができました。
水族館を訪れたみなさま、他の水族館の人たち、研究者、大学の先生、海外の人、年齢や性別、国籍も関係なく、クラゲという共通点で、会話が弾む。なんてすてきなことでしょう。
クラゲが人と人を繋げ、人と人が繋がったことでクラゲの新しい知見がわかったりと、繋がりが次の繋がりを生みます。
クラゲの不思議、その面白さを教えてくれたクラゲとそれに関わるみなさんに本当に感謝感謝です。そして、クラゲの難しさを感じると海の偉大さを再確認する日々です。
これからもクラゲの魅力をたくさん伝えていきたいです。そして “えのすい” のクラゲ展示が誰かの特別なものになっていたらうれしいです。

私もありますが、特別な場所、思い出の場所、勇気をもらえる場所、癒やされる場所、エネルギーをもらえる場所、悩んだときに行く場所など、みなさんそれぞれに大切な場所があると思います。そして、そういう場所がなくなってしまうのは悲しいし、いつまでも変わらずにあってほしいとも思います。
“えのすい” も誰かの大切な場所でありたい、あり続けたいと思っています。
いつでも動物たちと一緒に待っています。 5年後、10年後もみなさんに愛される “えのすい” でありたいです。
今後ともどうぞよろしくお願いします!

クラゲファンタジーホール

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