2025年04月11日
トリーター:足立

えのすい20周年 ~生き物たちへの感謝~
「すべてに」

言葉では言い尽くせないので、生き物を1種類ご紹介させていただき、これまで出会ったすべての生き物への感謝の言葉に代えさせていただきます。

ブラインシュリンプ。
当館でも、クラゲをはじめ、多くの生きものの命を支える餌生物です。


ブラインシュリンプ = Brine shrimp

ブラインは「塩水」の意味。シュリンプは(小型の)エビ。 
塩湖にすんでいるエビの仲間です。
アルテミア属の生き物なので、アルテミアと呼ぶこともあります。
海水の塩分は 3.5% ほどですが、この仲間は、他の生物が生きられない、塩分が 25% もある水中でも生きることができます。 珪藻類を食べますが、競合する相手も天敵もほぼいないので、大量に生息しています。
さらに、ブラインシュリンプは環境が悪くなると、産まれる卵が耐久卵となって水温低下や乾燥に耐え、環境が良くなってくるとふ化するという、すごい生き物です。
そのような生き物なので、大量の耐久卵が採取され、流通しています。 私たちもそれを利用し、その耐久卵を毎日必要な分だけ温かい海水に入れ、24時間ほどでふ化してきたノープリウス幼生を、餌として使っているのです。

ブラインシュリンプは、クラゲ、シラス 他の仔稚魚、イカの赤ちゃん、カニの赤ちゃん、エビの赤ちゃん・・・ などなど、たくさんの展示生物を支え、それはすなわち、水族館と、水族館で働くヒトを支えていると言っても過言ではないでしょう。

アルテミア属には何種類かいますが、当館のものは、アルテミア・フランシスカーナArtemia fransiscana という種類です。


「いつの日か、わたしたちは、氷の世界で出会うだろう。そのとき、お前が命を落としても、わたしが命を落としても、どちらでもよいのだ」(星野道夫著「ナヌークの贈り物」より)

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