愛玩動物看護師の矢作です。
20周年ということで、連日、それぞれの担当者が「生き物たちへの感謝」をテーマにお届けしているトリーター日誌ですが、いよいよあと4日、間もなく終わります。
さて、私が所属している医療チームは、特定の生き物を担当しているのではなく、“水族館にいるすべての生き物たちの健康を守る” 仕事をしています。
ですので、私は獣医療従事者として、日頃から意識し、すべての命と平等に接するように心がけています。
当館では、哺乳類から無脊椎動物まで 649種、19,712点(2025年 3月末現在)の生き物を飼育しています。 なかでも健康管理のため、検査や治療をする機会が多いのは、やはり鯨類や鰭脚類などの哺乳類、ペンギンやウミガメなどです。
また、愛玩動物看護師という職種は、一般的に “獣医師” と “飼い主・動物” との架け橋的存在を担うといわれていますが、当館においても “獣医師” と “担当トリーター・動物” との間に立ち、さまざまなシーンでパイプ役になることも少なくありません。 ですので、日頃の業務で関わる生き物の中には、 “ヒト” も含まれます。(笑)
“令和” と共に始まった “えのすい” での仕事は、飼育担当として約3年、医療チームとして約3年過ごしてきていますが、“ヒト” も含め、多くの生き物と出会い、別れもありました。
失ってしまった命からは、最期まで生きようとする姿、その命への治療やケアにチーム一丸となって取り組む課程、死後の遺体から、本当に多くのことを学び、経験させてもらいました。
また、新たな命の誕生についても、誕生前後の母体と胎子のケア、子育てにどのように介入していくかなど、初めて経験することも多く、関わるすべてのスタッフが、毎日非常に神経を使っていました。
生き物たちの健康を守るために大事なことは、まずは病気を予防すること。 そして異常を早期発見し、早期治療に取り組むことです。 これは私たち医療チームの最も大事なミッションです。
病気の予防や早期発見のため、また検査本番に向け、一緒にたくさんの練習を頑張ったメンバーたちを紹介します。 にぎやかな写真と共に、お楽しみください。
ミナミアメリカオットセイの『セシ』は、歯に歯石が付きやすい体質なので、歯みがきを1日1回、続けています。
口内を欠かさず毎日確認することで、些細な異変にも気づけるようになりました。
口の中にはたくさんのばい菌がいて、それが体調不良のきっかけになりかねないので歯みがきも大事なのです。
『セシ』は今、動物用の歯ブラシを愛用しています!
カピバラの『ヒナタ』は、ハズバンダリーで月に1回採血をおこなっているのですが、冷え込みの激しい冬場はなかなか血管が浮かず、血が採れないことが続きました。
先月、私が『ヒナタ』の採血をすることになったのですが、何日も前から担当トリーターの2人と一緒に試行錯誤し、『ヒナタ』に足湯へ入ってもらったり、念入りに血管確認をおこなったり、駆血もしっかりできるようにと工夫と努力を重ねた結果、ついに当日、採血に成功しました!
採血結果も問題なく、これからも元気に過ごしていけるようサポートしていきます。
『ココア』は、『オガ』と『ココ』の間に誕生した、“えのすい” で初めてのゴマフアザラシの赤ちゃんです。 2025年 4月 19日に1歳を迎えます。
最近では、毎日サンマやシシャモ、アジなど5種類の魚と、水分補給のためのゼリーを1L 食べており、体重は 50kg を超えました! 体調不良になることもなく、元気に成長中です。
小さなころから、担当トリーターとともにこつこつ練習を積み重ねた結果、今ではハズバンダリーで採血や超音波検査ができるようになりました。 初めて採血が成功したときの喜びは忘れられません…♪
きのうからイベントも始まりましたので、ぜひこちらもチェックしてください!
[ ゴマフアザラシの「ココア」 1さい おめでとう! ]
最後はこちら!
えのすい20周年 ~生き物たちへの感謝~。
当館の海獣類と飼育に関わるスタッフが大集合。 心からの感謝を込めた1枚です。
写っている動物たち:ハナゴンドウの『ビーナ』、バンドウイルカの『ミュー』、『ルイ』、『ミレニー』、『サワ』、ミナミアメリカオットセイの『ルシア』、『セシ』、『ライラ』、フンボルトペンギンの『ポピー』、『リリー』。
あしたからの新江ノ島水族館、そしてトリーター日誌にも、ぜひご期待ください!