2025年04月18日
トリーター:加藤

えのすいってすごい!

みんなでつないできたトリーター日誌「えのすい20周年 ~生き物たちへの感謝~」。えのすい入社歴まだまだ10か月の私は、読者としてみなさんと同じ感覚で楽しく読んでいました。あんなことがあったのか! そんなことができるのか! こんな経験ができたのか! と、先輩たちの更新をドキドキわくわく待っていました。そしてふと自身も振り返ってみようと思い、飼育員10年間の記憶を掘り起こしてみました。すると、私の経験を遥かに超える出来事がえのすいにある! と気がつき、興奮が冷めやらぬうちに今回書いています。というわけで、えのすいに来てまだ短いですが、そんな中でも私がびっくりしたことをお伝えします。

まずは鰭脚(ひれあし)類。これまでに 8種類を担当してきました。中でも体重900kgのトドを初めて目前にしたとき「うわぁぁぁ! こわぃぃぃ!」と思いました。実際は当時の先輩たちがトドとの関係をしっかり築いていたので大丈夫でしたが、慣れるまでは本当に怖かったです。さらに大きな動物、体重1,200kgのセイウチも担当したことがあります。トドよりも大きいんですよ? 怖いに決まっているじゃないですか! こちらも先輩のおかげで私も良好な関係を築いていました(と思っています)。とまあ普通なら経験できないであろう大型の鰭脚類を担当できたことは本当に幸せなことでした。
さて、えのすいでは、セイウチがかわいく見えるほど大きな鰭脚類、ミナミゾウアザラシの「みなぞう」がいました。体重は2,000kgを超えていたそうです。信じられない! 当時の写真を見せてもらいましたが、合成写真としか思えませんでした。そしてその距離感! 怖くないのでしょうか…。自身の経験からも、きっととっても良い関係なんだなと伝わってくる写真でした。そういえば、当時を知る大先輩がまだえのすいにいるじゃないですか。こうしちゃいられない。当時のことを詳しく教えてもらわないと!

サイズ感が混乱するほど大きな「みなぞう」サイズ感が混乱するほど大きな「みなぞう」

続いても鰭脚類。ゴマフアザラシ「ココア」にびっくりしたことがあります。
えのすいで初めて誕生した「ココア」は 4月19日で 1歳になります。最近になって私も担当することがあるので、産まれた当時のことを聞いてみました。これまでの経験上、アザラシの繁殖で大変な出来事がいくつかあり、離乳に苦労したことを思い出しました。たっぷり母乳を飲んで育った赤ちゃんアザラシは、離乳したら魚を食べないと生きていけません。この魚を食べるまでの過程に苦労があり、あの手この手で練習をします。魚を見せたらくわえたまま遊び始めて気がついたら食べちゃうパターンや、まったく魚に興味を示さず最終手段として口の中に魚を突っ込むパターンなどがありました。いずれも早くて 1週間はかかった記憶があります。
さて、えのすいでは、「ココア」、2日後に食べたそうです。もう一度言います。魚を食べる練習を始めて 2日後に食べたのです。信じられない! 冗談かと思って問い詰めたのですが本当のことでした。想像を超える「ココア」のポテンシャルに驚かされました。

魚を食べ始めたときの「ココア」魚を食べ始めたときの「ココア」

さらにペンギン。
魚が入ったバケツを持ってペンギンたちのところに行くとどうなるか。みんな集まってきます。そしてそのまま移動するとどうなるか。みんなついてきます。走るとみんな走ってついてきます。このようにペンギンはバケツを見て走るのだなと思っていました。
さて、えのすいでは、フンボルトペンギン 1羽の名前を呼ぶと、そのペンギンが走ってきます。プールの端にいても、呼ばれたら急いで泳いで陸に上がって走ってきます。信じられない! これまでの経験上、バケツしか見ていないんだな… とペンギンとの関係にどこか冷めたものを感じていました。それがえのすいでは、目を輝かせたペンギンが私のもとに走ってくるではありませんか! 実際は呼ばれたら来るというトレーニングを継続して、このような関係を築いたとのこと。想像してみてください。背を向けている遠くのペンギンが、振り返ってペタペタ足音を立てて、転びそうになりながらも駆け寄ってくる。これほどうれしいことはないですよね。毎日元気をもらっています!

名前を呼ばれて私のもとに走ってくる「ナイス」名前を呼ばれて私のもとに走ってくる「ナイス」

今後もあっと驚く出来事がきっとあるはず。飼育員冥利に尽きます。そんなことがある度に、こうやってトリーター日誌でまたお伝えします!

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