ご無沙汰しております。 育休明けの園山です。
私事で育休を取得していました。 育休中、水槽内の生き物もところどころ変更があり、しばらくぶりの職場を、まるでお客さまのような目線でわくわくして見て回りました。
というわけで、園山独断! 育休中に展示したおすすめの相模湾産魚類3選!!!
ツキヒハナダイ
相模湾未記録種! 展示している個体以外にも相模湾で採れたことがあるようですが、論文などで報告されたことはまだありません。 おそらく一定数生息しているのでしょうが、展示している個体も水深 90mから釣り上げられた個体で、ダイビングなどではなかなか見ることのできない種なのでしょう。
お客さまの声を聞いていると同居しているシキシマハナダイと見分けにくいようですが、違いはいくつかあります。 2種の識別でわかりやすいところでは、ツキヒハナダイは顔がシャープで細くとがったように見え、尾びれの中央が切れ込みますが、シキシマハナダイは顔が丸みを帯び、尾びれ中央も深く切れ込みません。 見比べてみてください。
ゲッコウスズメダイ
こちらは当館初展示種!
ツキヒハナダイと同じく、水深がちょっと深いところに生息しています。 実は展示している個体は、私も採集に同行しているときに釣り上げられた個体で、釣れた瞬間、おぉ!っと自然と声がでました。 それと同時に、自分も釣るぞ!!と意気込んだのですが、残念ながら私には釣れず。。。 いつかリベンジしたいです。
釣り上げたときは、水圧の影響で浮かんでしまっていましたが、船上での処置の末、バックヤードの水槽でも餌をよく食べるようになりました。 健康状態も良好になったようで、展示の話を聞いたときのうれしさはひとしおでした。
ナミダカサゴ
ニュースにもなっていたので、そこで見られた方もおられたかもしれませんが、最後はナミダカサゴ。 日本産として採集されたものとしては2個体目です。
展示個体の詳細はホームページにもすでに載っていますが、1971年に伊豆海洋公園の水深 50mにて採集された個体を、William N. Eschmeyer氏(カリフォルニア科学アカデミー)、廣崎芳次氏(旧・江の島水族館 2代目館長)、阿部宗明氏(当時、農林省東海区水産研究所)の3名で新種記載された種です。
新種記載する場合、1個体の標本(ホロタイプ標本)が必要なのですが、実は少し前まで新江ノ島水族館の標本庫に保存されており、私が新江ノ島水族館に入社した当初、標本庫で見つけて一人驚いていました(今は神奈川県立生命の星・地球博物館に収蔵されています)。 その標本は全長 16.7cmで、現在展示している個体は 10cm程度ととても小さく見え、第一声でが「ちっさ!」でした。
真っ白い標本とは違い、生きている姿が見られるのは感無量です。
3種ともあまり見る機会のない種ですので、みなさんぜひ見に来てください!
個人的な意見ですが、育休という制度は、子育てをするうえで当事者にとって非常にありがたいものです。 実際に私も家族との大切な時間を過ごすことができました。
ただ、それはあくまで私だけの目線です。 きれいごとだけではなく、家庭の事情、会社の状況、個人の立場、それらが違えばその見方は大きく変わっていくものです。
一つの制度で、すべての人を幸せにするのは難しいですが、それぞれの立場を尊重したうえで「互いに信頼」できる関係性や、日々の行動をとっていければ、その印象は大きく変わるのだと思います。
今回私は多くの方に信頼をいただいたと考えています。 今度は私の番。 みんなから得た信頼に応えていけるよう、これからも一生懸命頑張ります!