水族館で展示している魚はどのようにやってくるか知っていますか?
“えのすい” の場合は、私たちが海や川に行って採集することもあれば、業者さんから購入することもありますが、漁に紛れ込んだ魚を漁師さんから買い取り、“えのすい” にやってくることもあります。 普段は、漁師さんが捕まえた生き物を取りおきしていただき、私たちが漁港まで受け取りにいくことが多いのですが、月に1~2回ほどは漁師さんの船に同乗させていただいています。 先日、私も初めて定置網船に乗せていただきました! 一緒に乗船したのは、乗船経験豊富な Nトリーターです。
この日の出航は 2時 30分。
もちろん外はまだ真っ暗です。 酔い止めを飲み、船に荷物を積み、準備万端。 どんな魚が入るかわくわくドキドキしながら出発です!

漁場までは 10分ほどでしたが、この日は波が高く船が揺れる…。 船酔いしやすい私は、Nトリーターの「頭を動かさない、なるべく遠くを見る」という助言をもとに耐え忍びます。 漁場に到着すると、漁師さんたちは手際よく準備に取り掛かり、あれよあれよという間に網が引き上げられていきます。


いよいよです。

魚の姿が見え始めました!!! 目の前の大量の魚に大興奮です。
まず見えたのは大量のマイワシ。 マイワシに混ざってマアジやマサバ、ハシキンメなどもたくさんいます。 さらにブリやカンパチ、トビエイやアカエイなど大きな魚も・・・ これらを船の上から選別するのは大変なので、手網ですくって、そこからほしい魚を選んでタンクに収容していきます。 漁師さんたちも手伝ってくださり、どんどんと魚がタンクに入っていきます。
ある程度採集できたところで、落ち着いたら一気に船酔いがやってきました。 どうやら採集している間は、アドレナリンがどばどば出ていたおかげで船酔いしていることすら気が付かなかったようです(汗) もう下を向けないくらい船酔いしていたため、横目でNトリーターが何をしているか見学しつつ、とにかく漁の邪魔にならないようにすることに神経を集中させていました。(このとき、Nトリーターはどんな魚が入っていたかをチェックしたり、漁師さんから最近の傾向などを伺ったりしていました。 私も次こそは…!)
船酔いのせいで 10分が信じられないほど長く感じた帰路でしたが、陸に降りてしまえば体調も復活し、いつの間にか空も明るくなり始めています。
ここからは生き物を水族館に連れて帰ります。 漁師さんからお借りしたタンクを船から下ろしてもらい、そこからトラックに載せている “えのすい” のタンクに生き物を入れ替えます。 そしてトラックで生き物を運び、水族館についたら、今度はタンクからバックヤードの水槽へと移動です。 その後、搬入した生き物の状態をみながらケアをおこない、ようやく展示へデビューします。
このように生き物を展示するまでには、準備から含めるとそれなりに長い道のりがあるわけですが、普段、その半分くらいを漁師さんが担ってくださっているといっても過言ではないと思います。 さまざまな生き物を展示できるのは、日々、めずらしい魚やリクエストの魚を心よくとっておいてくださる漁師さんの協力があってこそなんだと、今回の乗船で改めて感じました。
そんなこんなで洗礼を受けつつも、初の定置網乗船は無事に終了しました。 船酔いは慣れもあるといいますので、こりずに機会があればまた乗船したいです!!