2025年09月05日
トリーター:杉村

ちょっと迷惑な珍事件・・・

深海生物の展示水槽の中で、朝の巡回時に見つけました 。 。 。
クラゲファンタジーホールの横にある、エビスダイやムツ、トラザメなどを混泳飼育している水槽で。

この水槽の中ではトラザメを飼育展示していますが、2年程前から時折産卵してくれています。
トラザメは、大きさが 40~50cm程の茶色のトラ柄をした小型の深海性のサメです。

トラザメトラザメ


トラザメの卵・・・ この形から “人魚の財布” とも呼ばれています。
大きさは、5cmくらいです。

トラザメの卵トラザメの卵

トラザメの卵の四隅には「付着糸」と呼ばれるくるくるとした紐のようなものが付いていて、卵が潮に流されないように海底の障害物などに巻き付くようになっています。
飼育をしている水槽に巻き付ける障害物がなくても、これまで産卵して水底に落ちていることがよくあったので、朝、私たちが気付くと拾って孵化用の水槽に移動させていました。

・・・ ところがある朝、いつものように観察していると一緒に飼育をしている “オオホモラ” が何か背負ってるなと思っていたら・・・
背負ってはおらずに何かかが絡まっている状態でした。
オオホモラは第4番目の歩脚で、貝殻やカイメン、時にはヒトデまで背負ってカムフラージュする性質がありますが、今回は違っていました。
なんと、よく見るとトラザメの卵の付着糸が絡まって、脚が完全にロックされていました!!
トラザメが卵を絡ませていったんですね。
器用に絡めていったものです。
オオホモラはどんな状態だったのか・・・

オオホモラ(背中の第4歩脚に卵が絡まっています)オオホモラ(背中の第4歩脚に卵が絡まっています)拡大写真拡大写真

オオホモラは無表情なのですが、脚が動かせなくて内心どきどきだったかもですね。
このままでは、脚が動かせなくて自切してしまう恐れがあるので、そっと取り上げて外してあげました。

こんなこともあるんですね。
これ以降、同じようなことは起きていませんが、毎朝注意しながら観察しています。
そろそろ産卵用の障害物でも入れてあげようかと思っています。

ちょっと迷惑な珍事件でした。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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