2025年09月06日
トリーター:加登岡

マニアック

夏休みも終わりました。みなさんどこかにおでかけしましたか? もちろんえのすいにも遊びに来てくれましたよね?
え? まだ行ってないって…
そんなあなたにおすすめのイベントをご紹介! 9月13日(土)の18:00~21:30に「水族館マニアックフェス」を開催します!
昨年好評いただいた「アカデミックフェス」をバージョンアップしたイベントとなります。
昨年は私も参加し、サメのお話をさせていただきました。今年は魚類担当からウツボ大好き藤田トリーター、期待の新鋭霜鳥トリーター、深海の大ベテラン杉村トリーターがお話をします。
詳しい内容はまだわかりませんが、ウツボの話をするときに声色が明らかに変わる(テンションが上がる)藤田トリーターなら間違いなく、マニアックな話をしてくれるはずです。
霜鳥トリーターは「クラゲのにおい」の話。えっ…? クラゲって臭いあるの? 本当に? 私にはまったく想像できませんが既に内容がマニアックですね。
そして、大ベテランの杉村トリーターは長年の飼育経験からサツマハオリムシを含む深海生物の話です。深海生物というだけでマニアックなので期待大です。
もちろん魚、クラゲ、深海生物だけでなく、イルカの話は櫻木トリーター、ペンギンの話は石川トリーターがしてくれる予定です!
さらに今回の「水族館マニアックフェス」はえのすいトリーターだけでなく、2名のゲストがお話をしてくれます!
1人目は国立遺伝学研究所の工樂樹洋氏です。当館とも今年の 7月に共同で「Sharks and rays have the oldest vertebrate sex chromosome with unique sex determination mechanisms(脊椎動物最古の性染色体の発見~ゲノム情報から迫るサメ・エイ類のユニークな性決定~)」という論文を出しています。私と工樂氏とは板鰓類研究会で知り合いになり、今も情報交換をさせていただいております。今回お話いただく内容もサメについての内容です。サメ好きの私も楽しみにしています。
2人目はまだ名前は明かせませんが、イルカに関する専門家がお話をしてくれます(イベント当日までにHPで紹介予定)。この方は私の学生時代の恩師でもあります。私もその時間はイルカショースタジアムに少しお邪魔させてもらう予定です。

きっと来た方は何かしら「へぇーそうなんだ!」と思えること間違いなし!
ただマニアックすぎてわからなかったらどうしよう…と不安に思っている方は心配いりません。トリーターや特別ゲストに質問もできますので、ぜひこの機会に知識欲を満たしてください。

イベントの紹介で終わってしまうのも何なので、私からもマニアックな魚を一種紹介します。
今、日本の水族館で唯一えのすいで見られる「ナミダカサゴ」の紹介です。この魚を知っているだけで、あなたは「マニアック」決定です。
このナミダカサゴを見るためにわざわざ遠方から来場されるお客さまもいるほどマニアもうなる魚です。展示した際はニュースにもなりました。
さかなクンがえのすいに届けてくれた 4月29日から順調に成長し、体も少し大きくなりました。えのすいに来た当初は生きている餌しか食べませんでしたが、ちょっとずつ慣らして今では解凍したキビナゴを食べるようになりました。餌の時間になると水槽の蓋が開くのを待つように、上を向いてスタンバイしています。
飼育当初から思っていましたが、ナミダカサゴはよく物を見ているように感じます。生きている餌を入れるとすぐに反応するのに対し、冷凍物の餌を入れると全く反応しません。また、給餌棒で生きているように動かしても、疑ったような眼をして全く反応しないのです。細く水中で見えにくい釣り糸を使って、ばれないようにし、お腹がすいているだろうタイミングで給餌を繰り返し試みてようやく食べてくれました。実に 2か月かかりました。今ではすぐに食べてくれます。
また、脱皮もするので、水槽を見ていると時々膜のようなものがふわふわ漂っています。それが脱皮した皮なのです。体にコケが生えたりもするので、脱皮のたびにきれいになります。コケがある方が擬態にはいいのだろうなと思いつつ、脱皮していないか毎日確認しています。運が良ければ脱皮の瞬間にも出会えるかもしれません。
そして、ナミダカサゴは今月でえのすいに来て 5か月目になりました。54年前は 4か月で終わってしまった飼育記録を更新したことになります! まだまだ成長が楽しみなマニアックな魚です。

この夏えのすいにまだ来てない人も、来た人も! マニアな人もそうでない人も! ぜひ「水族館マニアックフェス」にお越しください!

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