2025年10月13日
トリーター:西川

水槽にいる小さな生物「ヨコエビ」

サヨリを展示している水槽に、1cmにも満たない大きさの何かが もぞもぞとたくさん動いているのが見えます。
ぐーっと近づいて見てみると正体がわかりました、ヨコエビです。

展示水槽にいるヨコエビ展示水槽にいるヨコエビ

ヨコエビは、世界に約1万種、日本にも 400種以上 体生息していることが知られていて、とても多くの種を含むグループです。
まだまだ新種が見つかっているグループでもあり、未記載種という発見されているけれど名前がない種も多く存在しています。
ヨコエビの仲間で一番有名なのは、カイコウオオソコエビでしょうか。
この種は 水深1万メートルの超深海に生息していて、地球上で最も深いところに棲む生物です。 こちらは液浸標本ですが、深海Ⅱで展示しています。

カイコウオオソコエビカイコウオオソコエビ


ヨコエビの仲間は江の島の周りにも多種生息していて、私が調査した「 江の島の潮間帯動物相 – Ⅷ 」でも、7種確認されています。

水槽の中で発見したヨコエビも、調査した7種のうちの1種かもしれないですが、分類するには脚の形状や触角の長さ・形、体表のとげや突起の発達具合などの細かい部分を見る必要があり至難の業です。
体のサイズや色彩も参考にはなるのですが、成長に伴って変化したり個体によって色彩が違うことがあるので、補助的なものになります。
実際に水槽で捕獲したヨコエビを顕微鏡で見てみると、メリタヨコエビ科の一種かな、とっいた感じで種まで特定できませんでした。 もしわかる方がいたらぜひ教えてください。

水槽内にいたヨコエビの仲間水槽内にいたヨコエビの仲間


ヨコエビは、水槽内の石の下などに居ついて残った餌を分解してくれたり、微小藻類を食べてくれたり、水質の浄化や食物連鎖の一部として有用な「自然のクリーナー」です。
小さい割に機敏に動くことがあるので 増えすぎると少し気持ち悪いですが、顕微鏡レベルで拡大すると、大きな目があったりしてかわいい側面もあります。
真剣に向き合うとだんだん好きになっていく部類で、最近その魅力に取り込まれ始めています。
みなさんも水槽にいるヨコエビを双眼鏡や虫眼鏡で見てみると、面白いヨコエビの世界が開けるかもしれません。
ヨコエビはサヨリの展示水槽に必ずいます。 スマートフォンのカメラではズームをしても画質が荒くなって見られなかったので、水族館にくるときは拡大して観察できる道具をお忘れなく。

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