みなさま こんにちは。すっかり肌寒くなり、本格的な秋になりましたね。
私は、まだ残暑の残る10月のはじめ、クラゲ飼育者のワークショップに参加するために鹿児島県へ行ってきました!
やはり南の方なので、10月といえど真夏かと思うくらい暑かったです…。
さて、ワークショップの内容は、「有藻クラゲを極める」ということで、体内に褐虫藻を共生させているクラゲ(タコクラゲやサカサクラゲなど)の飼育について、他の水族館の方と意見交換をしたり、生物採集をおこなったりしました。
共生する褐虫藻は光合成によって栄養を作り出し、宿主であるクラゲにその栄養を与えているといわれています。
そんなクラゲたちの飼育にあたって、みなさんどんなポイントを意識しているのでしょう?

こんな感じでそれぞれの飼育状況を伝えあい、より良い飼育方法はないかな? と意見交換をしたり、クラゲ飼育に使う道具を工作してみたりと。
一つのテーマを掘り下げてじっくり話をすることはなかなかないので、良い機会をいただくことができました。
いくつかの水族館が集まって情報共有をすることで、思いもよらなかった発想に驚かされたり、当たり前だと思っていたことがそうではなかったと気づかされたり。
クラゲ担当になって約半年が経ちましたが、改めて現在の飼育方法を多方向から見つめなおすことができました。
これは良いかも! と思ったものはすぐに実践したり、深く勉強したりしていきたいと思います。
そして、私が一番楽しみにしていたクラゲ採集!
タコクラゲやサカサクラゲがよくみられるということで、それらを探してみます。

いました! タコクラゲ!
火山由来の軽石がたくさん浮いている中、ぴょこぴょこと泳いでいました。
サカサクラゲは海底でじっとしていることが多いので、潜っての採集にも挑戦します。

まず目につくのは、やはりタコクラゲ。

泳いでいると気が付いたら真横をかすめる、くらいの密度で点在していました。
この日は表層の水温と塩分が海底よりも低かったのですが、光合成を効率よくおこなうためでしょうか、タコクラゲはみんな日当たりの良い表層でぷかぷかしていました。
やはり野生のものは傘が肉厚で、口腕ももりもりしていて迫力がありますね。
サカサクラゲも見つけました!

こちらも、傘はどこにあるの…? と思ってしまうくらい、口腕がもりもりでした。
サカサクラゲは、カシオソームと呼ばれる刺胞を包んだ粘液のようなものを発射することが知られています。
サカサクラゲが群生しているところに近づくと、まるで結界が張られているかのように、痛みを感じることがあるのだとか。
ですが、今回見つかったサカサクラゲは比較的小型だったためか、あるいは数が少なかったためか、海中でサカサクラゲの結界を感じることはできませんでした。
少し刺されてみたい気持ちもあったので、残念です。
そして、サカサクラゲのポリプも発見することができました。
小枝や空き缶のごみなどについていました。

ポリプのサイズは 2mm程度ととても小さいので、最初は探すのに苦労しましたが、場所を教わり、見るポイントが分かってからは、たくさん見つけることができました。
野外でクラゲのポリプを観察することはそうそうできることではありませんが、クラゲの飼育・繁殖を語る上ではポリプの存在は非常に大切です。
ポリプをいかに良い状態で飼育できるのかにすべてがかかっているといっても過言ではなく、常に私たちは頭を悩ませているところです。
そのためには自然界に近い環境を再現することがひとつのやり方なので、今回見られたサカサクラゲのポリプと生息環境は、私の中でとても貴重な財産になりました。
そして今回は昼間だけでは飽き足らず、夜にもクラゲを観察しに行くことに。

夜に見る姿もなかなか格好いいですね。
光に照らされて、たくさんのタコクラゲが集まってきました。
この日は中秋の名月。
きれいな満月を眺めながら海の月(海月:クラゲ)を観察することができ、とても贅沢な夜になりました。

うーん、タコクラゲと満月を一緒に写真に収めてみたかったのですが、なんだかいまいちですね…。
実際の景色は本当にきれいだったんですよ…!!
写真技術の向上、頑張ります…
そんなこんなで、とても充実した時間を過ごすことができました。
いくつかクラゲの持ち帰りもあり、新しい飼育方法を早速試したりしています。
今回のワークショップにあたりご尽力いただいたみなさま、何より、快く受け入れてくださったかごしま水族館のみなさまにこの場をお借りして感謝申しあげます。
今後のクラゲ展示発展に向けて頑張ります!