みなさんは卵というと私たちが食卓でいただく、ニワトリの卵を思い浮かべるかと思います。
さて、ペンギンの卵というとどんな形で、どのくらいの大きさなのか、なかなかイメージがつかないと思います。
私も他の鳥類の卵はすぐには思いつきません。
ニワトリを思い浮かべると、一様に同じ大きさや形のイメージが強いと思いますが、私たちがいただいている卵は大きさをそろえて販売されているので、購入する卵のサイズはほぼ均一になっています。また、表面を殺菌洗浄しているので汚れやクチクラ層はない白いさらさらした感触だと思います。
クチクラ層は雑菌などから卵を守ってくれているそうですが、産卵したてでは粘性の液体でヌメヌメしています。すぐに固まって卵表面はざらざらした感触です。
ペンギンではこのクチクラ層がありざらざらした感触です。また、産卵の際に卵が出る時にちょっと切ってしまうものもいて、血液がついていたり、便がついていたりする卵をよく目にします。
卵は衛生的に保たなければと思いますが、温めているうちにふんまみれにしてしまう親もいてあまり気にしていないようです。
さて卵の形なのですが、「それは一緒じゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は一羽ごとに傾向があります。大きかったり、小さかったり、丸に近い卵型、もあれば細長い卵型もあります。理由はわかりませんが、これは毎年産卵する際も同じ個体で同じような傾向になるようなのです。一緒に載せた卵の写真は楕円形型、丸型、卵型の長細いもの、元祖卵型です。下の方眼は 1cm 角なので大きさも参考にしてみてください。
ペンギンたちが卵をどういう風に認識しているかはわかりませんが、白い卵くらいのものなら卵と思って抱いてしまうペンギンもいますし、中には自分の卵を認識できているペンギンもいます。
これも多様性なのでしょうね。どちらも大事な気がします。
“えのすい”では血統管理や親の子育て状況から、托卵して他の個体の卵を育ててもらうことがありますが、全羽が自分の卵しか抱かないと、こういったことはできません。
種を保存しようとする本能として、多様性はさまざまな環境変化へ適応できる選択肢なのではないかと思うのです。
卵一つでもその生物の生き延びてきた歴史が垣間見えるように思います。