地元の漁師さんたちから、網にかかったようすがまるで梅干しみたいに見えることから、「梅干し」と呼ばれている イオリクラゲ。
十数年ぶりに、石川県より野生個体がやってきました。大きいです。今までずっと展示してきた繁殖ものと比べると、全然違います。繁殖ものは、頑張っても 2cm 弱くらいで、全体的にふにゃふにゃしてしまっています。かわいさはありますが、力強さはありません。天然ものは色が濃く、厚みがあり、力強いです。かっこいい。少しでも天然ものの美しさに近づけるように試行錯誤していますが、なかなか難しいです。
やはり餌の違いが大きいかと思います。常にさまざまな種類や大きさの餌生物が存在する海はすごいです。そして、栄養のバランスは、成長や大きさだけでなく、ときにクラゲの模様や色にも影響を与えることがあります。例えば、アカクラゲのしま模様は、栄養が偏るときれいには出ません。しまがなかなか出てこなかったり、いびつになってしまったりします。色が餌由来の場合は顕著です。また、飼育していると色がなくなっていってしまうものもいます。シンカイウリクラゲの赤黒さは、飼育しているとどんどんなくなってきてしまいます。緑色を帯びていたヒドロ虫も、透明になっていってしまいます。もしかすると、今回の天然もののイオリクラゲの赤色も、薄くなってきてしまうかもしれません。今の赤色をぜひ見逃してほしくないですね。
そして、鮮やかな色は生きているからこその色でもあります。標本になってしまうと色は変わっていってしまいます。現在展示しているホムラツノガサクラゲの鮮やかな赤色も、標本で保つことは難しいです。生きた状態で見られるということは、とても貴重で、とてもすてきなことです。水族館ですので、生きた状態でみなさんにご紹介ができるように、我々はこれからも日々頑張っていきます。そして長期飼育を目指していき、少しでも多くの知見を増やしていきます。水族館は、水に入ることなく、間近でゆっくり生き物を見ることができます。ぜひ、天然ものの力強さ、感じてください。