2026年05月24日
トリーター:西川

深海洞窟で発見された光輝く新種が「注目すべき海洋生物新種 TOP 10」に選ばれました!

こんにちは、えのすいのトリーター西川です。
きょうは、「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」という、とてもユニークな生き物についてお話しします。
このイソギンチャクは深海の洞窟で暮らしており、2025年に報告されたばかりの新種です。えのすいも参加している 深海洞窟探査プロジェクト D-ARK で沖縄県・南大東島沖の水深約 385m にある大きな洞窟の中で発見され、ダメサンゴの骨格に住まいを借りるようにして黄金色の群体を作っています。
白いサンゴと黄色のポリプのコントラストは、まるで“黄金の宝石”みたいで、深海の静けさの中でとても目立つ存在です。

ダメサンゴに付着するウフアガリアカサンゴスナギンチャクダメサンゴに付着するウフアガリアカサンゴスナギンチャク

引用: Glow in the D-ARK: a new bioluminescent species of Corallizoanthus (Anthozoa: Zoantharia: Parazoanthidae) from southern Japan

ウフアガリアカサンゴイソギンチャク最大の特徴は、発光することです。
実験的に塩化カリウムで刺激を与えると、ポリプの一つ一つが緑色に点滅するように光ることが確認されました。この発光は、もしかすると敵に「やめて!」と伝えるための自己防衛、あるいは仲間同士のサイン、あるいは誰かを呼ぶための信号なのかもしれません。
深海の暗い世界で、自分の光を見せ合う姿は、まるで自然のイルミネーションのようで、とても神秘的です。
ちなみに、現場で初めて発光を確認したのは、水中ドローンによって刺激が与えられた瞬間で、塩化カリウムじゃなくても物理的な刺激によって発光します。

ウフアガリアカサンゴスナギンチャクの発光ウフアガリアカサンゴスナギンチャクの発光

引用: Glow in the D-ARK: a new bioluminescent species of Corallizoanthus (Anthozoa: Zoantharia: Parazoanthidae) from southern Japan

この光は、特別な発光分子「セレンテラジン」と、それに反応する「発光酵素」の組み合わせでできています。 自分の細胞の中で光を生み出していて、バクテリアなどの他の生物に頼ったものではない点も、科学的にとても興味深いとされています。

ウフアガリアカサンゴイソギンチャクは、深海洞窟で発見されただけでなく、世界で初めて「深海洞窟内で発光が直接観察された生物」として注目されました。
この発見は、深海の洞窟がまだまだ未知の生物が隠れている“宝の窟”であることを教えてくれます。
また、スナギンチャク類の中に、発光能力を持つ種がまとまって存在するということも、今後の研究にとって重要なポイントです。

この新種の発見は世界的にも注目され、世界中の研究者によって運営されている、世界の海洋生物の分類情報をまとめる国際データベース「WoRMS( World Register of Marine Species )」が選出する、「Ten remarkable new marine species from 2025(注目すべき海洋生物新種 TOP 10 2025)」にも選ばれました。
毎年、世界中で数百〜数千種の新種が記載される中で、この 10種だけが選ばれる枠はとても限られたもので、この選出は、沖縄近海の深海が世界の生物多様性にとって重要な場所であることを示す証です。

現在、えのすいでは、このウフアガリアカサンゴイソギンチャクを展示しています。この種が発見された深海や、生物の神秘を感じていただける展示を目指して、本種の存在をご紹介しています。
実際に光るようすを見ることは難しいですが、黄色いウフアガリアカサンゴスナギンチャクのようすは存分に見ることができます。ご来場の際には、深海の静けさと、そこにある光の世界を、少しだけ想像しながら見ていただけたらうれしいです。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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