2026年07月04日
トリーター:西川

ホネクイハナムシ大量発生計画始動

こんにちは、えのすいのトリーター西川です。
ホネクイハナムシという生き物をご存知でしょうか。
生態や見た目は過去のトリーター日誌でも紹介しているので、参考にしてみてください。
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改めて簡単にご紹介すると、ホネクイハナムシ(Osedax japonicus )は環形動物門の多毛類で、ゴカイの仲間です。 人工的に沈められたマッコウクジラの骨に付着しており、2006年に新種として報告された比較的新しい種です。 えのすいでは繁殖にも成功していて継続的に展示をしています。

深海Ⅰの展示深海Ⅰの展示

これまで深海Ⅰでは、小さな骨にくらす ホネクイハナムシのようすを展示してきましたが、最近、バックヤードで管理している個体の調子が上がってきたので、いよいよ大量発生計画を始動したいと思います。

バックヤードのホネクイハナムシバックヤードのホネクイハナムシ

上の画像からもわかるように、バックヤードのホネクイハナムシは、小さな骨に密集して大量発生しています。 粘液が増えすぎると酸欠を起こして死んでしまうため、普段は週に1回、ピペットで海水を吹きかけたり吸い取ったりして粘液を飛ばし、呼吸しやすいようにトリミングしています。

トリミング後のホネクイハナムシトリミング後のホネクイハナムシ

見た目にはあまり変化がないように見えますが、ホネクイハナムシの赤い中体部が見えるようになりました。 これで、この骨のホネクイハナムシたちは、1週間は無事に生きられるようになります。
今回はトリミングした後の粘液を使って、大量発生計画を進めていきます。
実は、目に見える赤い中体部を持つ個体はすべてメスで、鰓冠さいかん、中体部、樹根状じゅこんじょう栄養体部の3部構成の体で、体の先端にある羽毛のような鰓冠で呼吸し、根のように枝分かれした樹根状栄養体部を骨の内部に食い込ませて栄養を摂っています。 一方でオスはとても小さく、メスの棲管や粘液中で生活するという、非常に変わった性質を持っています。 粘液の中には、オスとほぼ同じ大きさの卵もあります。

トリミングした粘液トリミングした粘液

粘液中のオスと卵は小さすぎて、肉眼では粒々にしか見えないので、顕微鏡で確認します。
卵は丸くて動きがなく、オスは繊毛をひらひらと動かして粘液の中を移動することができます。 寿命が3〜5か月程度と短いホネクイハナムシは、水槽内では常に繁殖が起きているようで、いつ粘液を確認しても必ずオスと卵を確認することができます。

オス(左)と 卵(右)オス(左)と 卵(右)

このオスと卵が含まれた粘液を新しい骨に吹き付けたり、骨と同じ水槽の中に入れておいたりすると、骨にくっついて目に見える大きさまで成長していきます。 ホネクイハナムシが付着するのは、骨であればなんでもよいというわけではなく、個人的には適度に脂があって表面がつるつるしすぎていないものが定着しやすいように感じています。

付着させる鯨骨付着させる鯨骨

今回は脂が残った骨を用意できたので、表面を削ってホネクイハナムシが付着しやすいように加工してみました。 ホネクイハナムシは、一度付着したら寿命を迎えるまでその場から動きません。 だからこそ、彼らにとって快適な「都」となるような住処を用意してあげたいという思いで、お世話をしています。
骨に付着して目で見えるようになるまで、通常であれば2か月弱、上手に繁殖してたくさんのホネクイハナムシが見られたらいいなと思っています。
みなさんには展示として結果をお見せできるように頑張ります!

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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