2026年07月11日
トリーター:向田

「シリアス」の子育て法

みなさんもご存じ、6月19日に誕生したバンドウイルカの子
母親は「シリアス」です。
現在は 親子2頭だけではなく、「ミュー」や「マリン」とも生活を始めました。
産まれた日から1週間は、トリーターと医療チームで 24時間体制で親子を見守り、子の授乳時間や呼吸数、排便や遊泳などをチェックしていました。
「シリアス」は出産直後から子にぴったりとくっついて泳ぎ、出産当日から授乳をしています。 現在も元気いっぱい成長中です!
「シリアス」ママ、、、さすが!

初めて出産に立ち会った私が驚いたのは、「シリアス」の子への遊泳レッスン。
基本的には子がプールに角にぶつからないよう、自分の内側を泳がせます。
一緒に泳ぐ方向は、プールを時計回り。


産まれて数時間後、子が「シリアス」の外側を半時計回りに泳ぐことがありました。
それでも「シリアス」は「なんてことないわ~」という感じで泳ぐスピードを変えることなく、うまーくポジショニングし、子が内側の時計回り遊泳に変えました。

そして出産当日のうちに、自分の外側を泳ぐレッスン開始。
角に当たらないように、プールの中心でゆっくりと外側を泳がせます。


翌日には、1頭で泳ぐレッスンも開始。
子が1頭で泳いでいる間、「シリアス」は近くで見守っています。


着々とレッスンを進めていく「シリアス」ママ。
なんで! 誰かに教えてもらったわけでもないのに! と毎時間驚きました。
「シリアス」のおかげで大きな傷をつくることなく、子は現在も泳いでいます。

「シリアス」のおかげでもあるのですが、ベビちゃん(トリーターからはベイビー/ベビちゃんと呼ばれることが多い)のポテンシャルも高いそう。

出産当日は、「シリアス」が泳いでいるところへ魚を投げて、泳ぎながら魚を食べていました。
ですが、翌日からは止まって魚を食べて、私たちが出す合図にも応えてくれました。 その間、子は1頭で泳いでいるのです!
母ちゃんから離れてプールを一周していました!
他の水族館で、イルカの子育てを見守ってきた先輩も、「この子、人生二週目や!」と言っていました。


イルカの子育てが、みんなこういうわけではないというのを知ったのは、「ミュー」が同じプールにやってきた後のことです。

「シリアス」の出産前から、『「ミュー」は子育てが好きで得意!』と先輩から聞いていました。
親としても、乳母としても、子にずっとくっついて泳いでくれるそうです。
そんな頼れる「ミュー」は、子が生まれた後、横のプールから「シリアス」親子をのぞいていました。
いざ、ゲートが開いて、親子と合流すると、一秒で子に寄り添って泳ぎました!
「ミュー」さすが!
「シリアス」も一週間ぶりの「ミュー」!
2頭で胸びれを擦り合わせて泳いでいました。
そして、「シリアス」は休憩時間です。
「ミュー」が子と泳いでいる間は、ぼーっと浮いたり、通りがかったトリーターにアピールして氷をもらったり、ひとり時間を満喫していました。

給餌の時間になると、先に、止まって魚を食べている「ミュー」。
子と泳いでいるが、止まって魚を食べ始める「シリアス」。
そのため、1頭で泳ぎだす子。
すると、さっきまで魚を食べていた「ミュー」が子について泳ぎだす!
「ミュー」からしたら、「ちょっと!1頭になってるわよ! 私いくね!」という感じかもしれません。

のびのび育てて、必要なときに支えるスタイルの「シリアス」と、寄り添い、サポートを重視するスタイルの「ミュー」。

人間と一緒で子育て方法もイルカによって変わってくるのでしょうか。
十人十色、十イルカ十色なんですね~

イルカショースタジアム

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