2026年08月22日
トリーター:渡部

2か月が経ちました!
~オオタルマワシ長期飼育への道のり~

みなさん こんにちは!
オオタルマワシの展示をはじめて、2か月が経過しました!
前回、日誌を書いたとき( 2026年07月16日 1か月が経ちました! )いつまでタルが持つか観察したいと書いたのですが、ちょうど飼育から2か月が経った日に、オオタルマワシがタルから離れてしまいました。 残念!
タルはすっかりぼろぼろです。 でもこれまでで一番長くタルを維持することができました。

2か月間 オオタルマワシを守ったタル2か月間 オオタルマワシを守ったタル

本来、オオタルマワシは、海面も海底もない外洋や深海でくらしています。 海中では、泳いでいなかったとしても、体が物にあたることはほとんどないと考えられます。
一方、今飼育している方法だと水流が無いので、泳いでいないと体が常に容器の底面と接触します。 そのため、しばらくタルの無い状態で飼育していると、徐々に体に傷がついてしまいます。
よって、タルはオオタルマワシの体を守るために必要です。 しかし、いまだにタルのもととなるヒカリボヤを準備することは簡単ではありません。 狙って採集できる生物ではないのです。

そこで、今回も手作りの人工タルに切り替えることにしました。
他の水族館の方から情報をいただきながら、これまで何回か人工タルの作成を試みているのですが、まだまだ試行錯誤の段階です。
私が試してみた中で、オオタルマワシが一番気に入っているのは、指サックを加工して作ったタルです。 指サックはシリコン製なのでやわらかく、大きさもぴったりです。
しかし、指サックだけだと沈んでしまい、自由に泳げません。 そこで、今回は浮力調整にプラスチック粘土を使ってみました。
プラスチック粘土は、お湯につけるとやわらかくなって簡単に加工ができ、冷たい場所では固まります。 また、プラスチックなので水に浮く性質を持っています。
なにより魅力的なのが、指サックとプラスチック粘土は、100円ショップで手軽に購入できることです。 これでタルをたくさん作って試作することができます。
ちなみに、この粘土を使って、釣りで使うルアーの浮力調整をしている方もいるようです! とっても便利な材料ですね!

指サックとプラスチック粘土指サックとプラスチック粘土


今回は、指サックのてっぺんを切ってタル状にし、プラスチック粘土でコーティングするような形で作ってみました。
プラスチック粘土をハサミで切って、少しずつ貼り付けていくときれいに覆うことができます。

完成した人工タル完成した人工タル

見かけは指サックと大きく変わりませんが、触った質感が、かなり天然タルっぽい!
浮力調整も良さそうです。 果たしてオオタルマワシは気にいってくれるでしょうか…
少しドキドキしながら、人工タルをオオタルマワシに渡しました。

すぐに入りました!!
気に入ってくれたようです。 しかも、タルの中に入りながら移動しています!
以前作ったタルよりも、自由に動けている! うれしい!


まだ課題もあります。
今使っている指サックは半透明で、中にいるオオタルマワシのようすが見えにくくなっています。 そのため、オオタルマワシが完全に指サックのタルの中に入ってしまうと、まるで指サックを展示しているようになってしまうのです。
今度人工タルを作るときは、透明な指サックを探してみます!

ちなみに、指サックにはちょうど真ん中に窓のような穴があり、オオタルマワシの顔が見えることがあります。 ちょっと面白いので、ぜひ観察してみてくださいね。

改善の余地はありますが、人工タルもなんとかできたので、次なる目標は、オオタルマワシがどこにも当たらずに漂うことができる環境を整えること!
これができるようになったら、オオタルマワシと同じような環境でくらしている、よりたくさんの深海性のプランクトンをみなさんにお見せできるようになるかもしれません。
時間はかかりそうですが、楽しみにしていてくださいね。 オオタルマワシ長期飼育への道のりはまだまだ続きます。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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