2026年09月10日
トリーター:吉田

カブトクラゲの育成

一か月ほど前からクラゲファンタジーホールの入り口にある円柱型の水槽でカブトクラゲの展示を始めました。

カブトクラゲカブトクラゲ

クラゲは刺胞動物門と有櫛動物門という2つのグループから成り立っています。 刺胞動物門には、サンゴやイソギンチャクも含まれ、毒のある刺胞をもっているのが特徴です。 水族館でもおなじみのミズクラゲやアカクラゲなどは、刺胞刺胞動物門に分類されます。
一方で、カブトクラゲは有櫛動物門の仲間です。 有櫛動物門は、刺胞を持たず、8列の櫛板列があることが特徴です。 おなじ “クラゲの仲間” といっても、分類学的には離れています。

現在展示しているカブトクラゲは、えのすいトリーターが野生から採集してきた個体です。 相模湾だけでなく、静岡や長崎など全国からカブトクラゲの出現情報を集めて、水槽をカブトクラゲでいっぱいにできるくらいの数を採集してきました。
予備個体も含めると、その数なんと 1,000個体以上…!!

たくさんのカブトクラゲの櫛板に、光が反射してきらきらと見えるようすは、とてもきれいです。

この展示を維持するためには、野生から安定してカブトクラゲを入手できること、カブトクラゲの繁殖技術を確立させることが必要です。
昨年えのすい初のカブトクラゲの繫殖を成功させた山本トリーターに倣い、私もカブトクラゲの繫殖にチャレンジしています!
基本的な方法は、以前の山本トリーターの日誌をぜひご覧ください ( 2025年06月29日 えのすい生まれのカブトクラゲ )。

親から幼生を得るまでは意外とすんなりいき、親を移動した2~3日後には、大きさ1mm未満の小さな幼生が 50個体ほど生まれました。
とても小さいので肉眼で探すのは大変ですが、顕微鏡で観察してみるとこんな感じです。

生まれて約2日後のカブトクラゲ生まれて約2日後のカブトクラゲ

おとなのカブトクラゲは触手がありませんが、生まれたてのカブトクラゲには触手があります。 有櫛動物は、触手をもつ有触手綱と触手をもたない無触手綱に分けられますが、カブトクラゲが有触手綱に含まれるのは、生まれてから2週間ほど触手があるためです。

触手を使って餌を捕まえるのが上手で、生まれた直後から餌のシオミズツボワムシを食べます。 餌を与えつつ、丁寧に換水をしていると日に日に大きくなり、一週間ほどすると肉眼でもぱっと見つけられるくらいに成長してしまいます。

生まれて約7日後のカブトクラゲ生まれて約7日後のカブトクラゲ

このくらいの大きさになると、シオミズツボワムシよりもサイズの大きいブラインシュリンプも食べるようになりました。
毎朝どきどきしながらビーカーをのぞき、大きくなっている姿をみて一安心。
個体数が減っているとへこむ。
カブトクラゲの成長に一喜一憂する日々です。

一週間ほどは大きく個体数が減ることもなく順調に育っていたのですが、生まれて 10日を経過したころ、連休明けにビーカーをのぞくと個体数が激減。 50個体いた幼生は 10個体以下になってしまいました。
そこからも少しずつ個体数が減ってしまい、生まれて3週間ほどたった今、とうとう残り1個体になってしまいました。 そしてその個体すらも、きょう見たらなんか縮んでいる、、、

「何が悪かったんだろう?」
「餌が足りなかった? 逆に多かった?」
「水流が弱かった?」

幸いにも、成熟個体がまだバックヤードにいるので、幼生の入手はできそうです。
今回の反省を生かして、またチャレンジしたいと思います。
いつかは円柱水槽を えのすい生まれのカブトクラゲで埋められるようになったらいいなと思っていますが、まずは目指せ一か月! がんばります。

クラゲファンタジーホール

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