館内の太平洋 冷たい海の水槽に「ホッカイエビ」がやってきました。
冷たい海のイメージから、凍てつく・寂しいという感情的な部分を払拭して、トロピカルとは異なる華やかさを伝えたい!そんな気持ちでこの夏、北海道の漁師さんにお願いをしていた生き物です。
ごく浅い内湾のアマモ(海草の一種)が密生した場所にすみ、立ち並ぶテープ状の葉に似せた縦じま模様を持つため、“北海しまえび”とか、単に“しまえび”とも呼ばれます。
体色は、海草の根本付近にいる大きな個体は茶色っぽく、葉につかまっている小さな個体は淡い緑色をしていますが、淡緑色から茶褐色まで、色彩の濃淡は環境などによって常に変化しています。
食品として流通する時には茹でられて赤くなってしまいますが、鶯色(うぐいすいろ)や萌葱色(もえぎいろ)など、生きている時は和の伝統色に色合わせできるほど、何ともいえない魅力があります。
姿形からは、ご想像通りの美味しいエビですが、エビフライで親しまれているクルマエビ科の「ブラックタイガー」や「バナメイエビ」の仲間ではなくて、タラバエビ科のホッコクアカエビ(甘えび)の仲間です。
母エビは秋に産んだ卵を腹に抱き続けるので、子エビは卵の中でプランクトン幼生期を過ごし、翌春に親と同じエビの姿で孵化します。そして、1年目にすべてオスとして成熟し産卵行動に加わりますが、2年目には性転換してすべてメスとして成熟し、それからは毎年産卵するようになります。寿命については 4年以上生きるといわれています。
当館のある湘南や三浦半島ではアマモ場が激減してしまい、各地で残されたアマモ場の保護活動がおこなわれています。本種の採れた北海道の釧路地方にある霧多布(きりたっぷ)湾でも、その特異な生息環境は減少しつつあり、本種の資源保護のために漁期が夏場の数週間に限定されています。