きょうは鹿児島湾奥部にあるサツマハオリムシの生息地へ潜航しました。
ハオリムシはゴカイの仲間です。口も足も目もなく、自分で作ったマカロニのような巣に入って、鰓の部分を花のように覗かせるという、何とも不可思議な生物です。
深海に生息することが多い仲間ですが、ここのサツマハオリムシは、世界で一番浅い水深( 80mほど)に生息するといわれています。その気になれば?素潜りじょうずの海女さんなら、自分でもぎ取ってこれそうです(私は呼吸量が多いので少し苦しい気がします)。
実はこの種、既に何年も当館で展示飼育することに成功しています。餌となる硫化物を添加したり、一部の個体を透明なチューブに移住させて体内を見てもらう工夫をしたりして、結構興味深い展示になっているのですが、やはりというか、現場にはかないません。
ハイパードルフィンが映し出したハオリムシはまさに「山」でした。
起伏の少ない泥の平原を進んでいくと、小高い山が迫ってくる、よく見ると全てハオリムシ・・・。
ハオリムシの巣の上に別のハオリムシが乗り、絡まり、巻きつきながら小高い斜面一面にハオリムシが咲いているのです。そしてその上にカサゴの仲間が小鳥のようにとまっていたりして、よいアクセントになっていました。
ハオリムシは餌や水温の関係で、これまで長期飼育すること自体が夢でしたが、長期飼育が確率された次の夢は、自然の状態を再現することかも知れません。
そういえば乗船して 1週間経ちました。不慣れな船上で右往左往しているせいか、とても長く感じます。
そろそろ陸が恋しい頃ですが、あすは再び生物狙いです。少しでも多くの現場環境を目に焼け付け、展示作りに生かせるようにしておこうと思います。
[きょうの写真]
ハイパードルフィンから送られてくる映像
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。