梅雨のシーズンだというのに、きょうも天気は晴天です。
本日は鹿児島湾内で長い 1航海がありました。地球化学メインの調査のため、生物の採集はありませんでした。
さて、きのうの日誌と少し重複しますが、水深 200m付近の暗い泥底にも、いわゆる「メジャーな魚たち」が生活しています。
実は私は密かに、その存在感というか、雰囲気の違いに驚かされていました。例を挙げれば、同じアジでも、明るい場所でピカピカ光りながら泳いでいるさまと、暗闇の中から大群で押し寄せ暗闇に消えていくようで、印象が全く違うのです。
水族館でもアジやタイなどを「あえて」深海チックに展示したらそそるのでは?なんてことを考えたりします。
これまで新江ノ島水族館では、JAMSTECとの共同で、世界初の珍しい生物を紹介したり、再現の難しかった熱水噴出口の展示を成功させたりして、世界トップレベルの展示を展開してきました。
こうした方向性は維持しつつ、少しベクトルを変えて挑むとしたらどうするのか・・・
私は今回感じたような違和感のようなものを展示に生かせたらと思うのです。どこでも手に入る身近な魚で深海が再現できたら、それはまた面白そうです。そうした点できょうの調査は勉強になりました。
そういえば、水族館を出発する前に、ジンゴロウヤドカリとコツノガニを展示に出してきたのを思い出しました。どちらもトロール漁などで漁獲され、要らないので捨てられるような存在なのですが、よくよく見れば面白い姿をしているんです。
彼らは元気しているのでしょうか。水族館に来た際にはぜひ、「陣笠をかぶったヤドカリ」と「極小のタカアシガニ」にも会っていってください。
きょうの写真は採集した泥の中に入っていた小さなカニです。ゴマのような目がかわいらしいです。あすはまた生物の調査があります。良い天気が続く事を祈りつつきょうの日誌を締めたいと思います。
[きょうの写真]
泥に混じっていた「カー○おじさん」のようなカニ
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。