2007年08月26日

伊豆・小笠原弧、明神海丘・明神礁・べヨネーズ海丘(3)8月26日 日曜日 晴れ
深海調査航海NT07-17 ~未だ知られざる熱水噴出域を求めて~
3日目:初潜航!

  • 期間:2007年8月24日〜 2007年9月2日
  • 場所:伊豆・小笠原弧、明神海丘・明神礁・べヨネーズ海丘
  • 目的:明神海丘、明神礁、べヨネーズ海丘における熱水鉱床探査
  • 担当:根本


航海 3日目、いよいよ本航海初の潜航!朝から明神海丘に潜航し日没まで調査をおこなう予定!・・・ だったが重要な機材の積み忘れのため、それを取り戻ることになった。といっても母港の横須賀のJAMSTECまでではなく、調査海域近くの八丈島まで機材を空輸してもらう手はずになっているので八丈島まで戻ればよいのだ。
八丈島までは 560キロくらいしか離れていないので、午前中は調査ができることになった。

朝6時にベッドから起き上がり、第 2ラボラトリー、通称“ 2ラボ”に行くと、まだ真っ暗だった。
きょうは午前中だけの潜航で目的の作業をこなさなくてはいけないので、潜航時間が少し早まっている。
朝はだいたいみんな集まって来るのだけれど、まだ少し早すぎたみたいで誰も来ていなかった。電気をつけてパソコンでメールのチェックをした後、まだやることがなかったので、とりあえずカメラを持って階段を上り、後部の甲板に出て行った。
階段を登り切ると強烈な光が目に飛び込んできた。階段の下の“ 2ラボ”と船室は第二甲板と呼ばれる海面すれすれの高さなので、窓があっても鉄の蓋でガッチリ閉まっていて真っ暗で外のようすはわからない構造になっている。

「おーきょうは晴れなのか~!」

なんて思いながらテクテクと歩いて潜航を控える「ハイパードルフィン」のようすを見に行った。既に運航チームの方々が“ハイパー”の整備にかかっていた。調査機材を装備する準備をしている段階のようだったので、立ち会うべき「調査機器の作動確認」までにはまだ時間がありそうだった。

チームに挨拶をして、天気が良かったから時間まで海でも見てみようと右舷側へ行き海を見てみると、そこには海面から空に向かって虹が大きく丸く突き出ているのが見えた。
街中で虹を見ることはあるけれど、必ず何かしら建物や木のかげなんかで隠れてしまう。
しかし何もない海の上では虹は丸見えだ!でも、大きすぎて虹の先は左舷側まで続いてしまっていてもう一方の端が見えなくなっていた。走って左舷側まで回って空を見上げたけれど虹は見えなかった。ちょうど天辺で切れてしまっていたようだ。ちょっとがっかりして右舷まで戻って、カメラで写真を撮り、その後は手すりに寄りかかりながら虹ボーっと見ていた。その昔、子供の頃“虹の下には宝がある“と小耳に挟んだことがある。
「この虹の下の宝はなんだろう?新しい熱水域だったりして・・・ ?? そうだったら面白いのになぁ~」なんて考えているうちに虹は消えてしまった。

さて!そうこうしているうちに潜航開始は近づいてきた。ヘルメットを取り船室へ帰り、機材の作動確認に立ち会う。その後いよいよ潜航開始だ!

「ビーグル着水スタンバイ!」

緊張感のある声が船外スピーカーから船全体に響き渡る。キビキビと着水準備は進行し、ハイパーは“Aフレーム”と呼ばれるAの形をした巨大なフレームにつるされ海へ投入された。
ハイパーは無人探査機で有線操縦である。つまりケーブルで船とは常につながっている。このおかげでハイパーのハイビジョンカメラで撮影した大容量の映像をリアルタイムで船上で見ることができるのだ。
もちろん操縦も船の上。船の上にハイパーの操縦をする特別な部屋があり、操縦は 3人でおこなわれる。運航長 1名、操縦する方 1名、それとハイパーの腕であるマニピュレーターを操作する方 1名だ。
さまざまな計器や機械に囲まれ、真ん中に運航長、その両脇にパイロットがガッチリとしたパイロットシートに座り、薄暗く電気を落としたこのコントロールルームで 6枚の大きなモニターを見ながら操縦している姿はまるで宇宙船を操縦するコックピットのようだ。
調査のようすは後の日誌で紹介したいと思う。
本日は半日ということもあって、調査は駆け足でおこなわれて、午前中であっという間に終わってしまった。その後、八丈島に走り、5時頃到着。忘れた荷物を積んで、現在再び調査海域に戻ってきている。
あすは丸一日調査ができるので楽しみだ。

あすの日誌ではハイパードルフィンとサンプルの採集方法について紹介したいと思います。お楽しみに!

[きょうの写真]
上/海から生えた虹
下/潜航を待つハイパードルフィン

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT07-17「なつしま/ハイパードルフィン」による明神海丘、明神礁、べヨネーズ海丘における熱水鉱床探査潜航

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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