2007年08月27日

伊豆・小笠原弧、明神海丘・明神礁・べヨネーズ海丘(4)8月27日 月曜日 晴れ
深海調査航海NT07-17 ~未だ知られざる熱水噴出域を求めて~
4日目:万能探査機 ハイパードルフィン!

  • 期間:2007年8月24日~ 2007年9月2日
  • 場所:伊豆・小笠原弧、明神海丘・明神礁・べヨネーズ海丘
  • 目的:明神海丘、明神礁、べヨネーズ海丘における熱水鉱床探査
  • 担当:根本


本日で航海 4日目、そして明神海丘での 2回目のダイブだ。きのうは忘れ物を取りにいっていて午前中だけだったが、きょうは丸一日調査ができる!
きょうの調査は熱水域の水を採ったり、熱水の温度を測ったり、きのう設置した水中録音機を回収することが主な目的で、生物はその合間に採らせてもらうといった具合だ。
きょうはこれらの調査をすべて一人でおこなってしまう「無人探査機ハイパードルフィン」を紹介しよう!

ハイパードルフィンの支援する母船が「なつしま」であり、「ハイパードルフィン」と「なつしま」は必ずペアで調査をおこなう。
ちなみに「なつしま」はその昔は「しんかい2000」の支援母船で、「しんかい2000」の運航停止後から搭載されるようになった。「ハイパードルフィン」はまだ新しい調査機器なのだ。
ハイパードルフィンは全長 3m、幅 2m、高さ 2m、重さは 3.8tで、大きめ車の背を高くしたくらいの大きさである。最大使用深度は 3,000m。そしてハイパードルフィンを万能探査機にしているのが「マニピュレーター」と呼ばれる先がハサミになっている“うで”だ。
このマニピュレーターが 2本ついていて、人間の腕のように自由自在に動き、つかんだり、引っ張ったり、ねじったりさまざまなことができる。この自由に動けるマニピュレーターがあることによって、ハイパードルフィンは“道具”を使わせることができ、多種多様なミッションをこなすことが可能になる。
そして、もう一つ大事なものが目だ。特注のハイビジョンカメラが付いている!
この“うで”と“目”がハイパードルフィンの最大の武器となる!「ハイパードルフィン」を動かす電源と操縦席は「なつしま」の船上にあり、電気と操縦信号はアンビリカルケーブルを通ってハイパードルフィンに伝えられる。

それではNT07-17仕様のハイパードルフィンを写真で紹介します!
写真の四角い機械がハイパードルフィンで、朝の潜航直前の作動確認をしているところだ。
真ん中には先ほど紹介したハイビジョンカメラがある。ちょうど丸いガラスに光が反射しているがハイビジョンカメラは 3000mの水圧に耐えられるように、頑丈な耐圧容器に入っている。
その反対側には写真撮影用のデジタルカメラが入っていて、撮りたいものを船の上から自由に鮮明な映像を撮影することができる。
そして両脇の下にはマニピュレーターが付いている。
採集されたサンプルは、ハイビジョンカメラの向かって右横に見える、透明なアクリルでできた、円柱状の入れ物に収納される。生物はだいたいこの容器に入れられて採集される。この容器は“多連キャニスター”といい、中に 6個のボトルが入っていて、グルグル回して 1~ 6の好きなボトルにサンプルを収集することができる。採集する場所別にサンプルを分けることができる優れものなのだ。
回す操作はもちろん船上からおこなうことができる。マニピュレーターの間にはバスケットがあり、ここに海底で使ういろいろな機械や道具を入れてある。
その他にもあちらこちらに調査機材が取り付けられていて、ご覧のようにかなりゴテゴテした見た目になっている。
そしてこのハイパードルフィンと機材の捜査をおこなうのがコントロールルームだ。モニターが並んでいる写真がコントロールルームの写真である。
大きいモニターの下の列がハイビジョンカメラの映像で、両脇のモニターには水深や水温、塩分濃度やなどの表示が画面にインポーズされている。
写真右下に黒くて箱から細い棒が生えているものが見えるでしょうか。これがマニピュレーターのコントローラーになる。この棒がマニピュレーターと同じ形をしており、これを動かすと、マニピュレーターも同じように動くのだ。このときは潜航開始直後で運航長はまだ席についていなかったが、このモニターの前に 3人が座り、オペレーションを遂行する。26日の日誌でも書いたように宇宙船のコックピットのようですごくカッコイイ!

このようにしてハイパードルフィンで深海調査をおこなっています。次回はあがってきたサンプルをどのように処理していくのかを紹介したいと思います。

[きょうの写真]
上/ハイパードルフィンNT07-17仕様
中/マニピュレーター拡大写真
下/コントロールルーム

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT07-17「なつしま/ハイパードルフィン」による明神海丘、明神礁、べヨネーズ海丘における熱水鉱床探査潜航

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS