2007年06月19日

逗子海岸アカウミガメ産卵(1)

  • 期間:2007年6月19日〜 2007年9月12日
  • 場所:神奈川県 逗子海岸
  • 目的:アカウミガメ産卵〜 ふ化 確認調査
  • 担当:小谷野


朝早く、当館に逗子海岸でアカウミガメが産卵したという知らせがありました。
湘南地域一帯で産卵の情報があるのは年に 1回あるかないか、といったところですのでたいへん貴重です。
アカウミガメのメスは主に夜中に浜に上陸して、後肢で器用に穴を掘り、その穴の中に卵を産み落とします。しかし今回は、午前 4時26分に母ガメが海に帰っていくところを目撃されているとの話でした。
準備をしてすぐに逗子海岸に向かいました。卵は本当にあるのだろうか?

母ガメはいったん浜に上陸しても、その浜が気に入らなかったり、何かに驚いたりすると卵を産まずに海に帰ってしまうことがあるのです。湘南地域の浜は、すぐ近くを道路が走っているところが多く、明るくてその上騒がしいので、現場を確認するまでは母ガメが卵を産んでいる可能性は低いかも知れないと思っていました。

母ガメが産卵した場所は幸いなことに海の家が建つ予定もなく、波打ち際からも十分に離れていて、波をかぶる危険性が低いと思われる場所でした。
せっかく母ガメがこの逗子海岸を選んだのだから、この場所で子ガメをふ化させてあげたい。そう思ったのには大きな理由があります。
子ガメは砂の中の温度によってオスになるか、メスになるかが決まります。
つまり、もしこの卵を他の場所に移動してしまうと、本来オスとして生まれる予定だった子ガメがメスとして生まれることになってしまうかもしれないのです。
ウミガメはオスとメスのバランスを自然ではうまく保っているはずです。しかし卵を別の場所に移動することによってその性比のバランスを崩してしまうかもしれないのです。
台風による高波で浸水したり、砂中温度の低下によって、ふ化しないかもしれない。誰かがいたずらして、掘り返してしまうかもしれない。不安な要素はいくらでも見つかりますが、今回は逗子市や地域の方々に見守って頂くことになりました。

ウミガメだって自然のものなのだから、できる限りは何も手を加えずに、自然の状態にしておくのが一番なのです。

関連ページ
逗子海岸アカウミガメ産卵(2)
逗子海岸アカウミガメ産卵(3)

アカウミガメ産卵確認アカウミガメ産卵確認

ウミガメの浜辺

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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