2008年06月29日

沖縄トラフ(6)ハイパードルフィンの限界へ

  • 期間:2008年6月23日〜 7月4日
  • 場所:沖縄トラフ
  • 目的:深海生物 調査採集
  • 担当:伊藤


本州は梅雨の盛りのようですね。こちらは梅雨前線のはるか南にいますので、きょうも晴天、気温 30℃越えです。

本日の目標水深は 3000mと 5000m。ここで「おっ?」と思った方はかなりの潜水艇マニアでしょう。
ハイパードルフィンの潜れる限界は 3000mまでなのです。
ぎりぎりのところを航行するので、運航チームの方たちもいつもにまして慎重に運用しているのが、会話や通信から分かりました。

3000mの海底は一面の泥底で、生物はとても少なかったです。
魚を見たのはたったの一度。あとはぽつん、ぽつんとカイメンがあったり、ヤドカリが歩いていたりする感じでした。
採集物はイソギンチャクを背負ったオキヤドカリとフクロウニ(どちらも詳しい種類は不明)です。深海のヤドカリが背負った貝殻にイソギンチャクを付けて歩くことはよくありますが、きょう採れた個体は「イソギンチャクそのもの」が貝殻のように空洞をかたち作っていて、ヤドカリが内側に入れるようになっていました。
深海にはまともな巻貝が少ない場合があり、ヤドカリは宿を求めて、イソギンチャクは寄り添う相手を求めて、貝殻が見つからない者どうしで助け合った結果かもしれません。
近海もののフクロウニは現在の深海コーナーにも展示されています。
体がパンのようにふかふかしていますが、トゲには毒があります。江の島の漁師さんが網からフクロウニを外しながら「こいつにさされるとよー我慢はできるんだが、やーな痛さなんだよなー」といっていたのを思い出します。
きょうも念のため、ゴム手袋で扱いました。これらは陸揚げ時点で死んでしまっていましたので、標本や映像として残せればと思います。

さて 5000mです。こちらはハイパーでは行くことができませんので、海底設置物に発信機を付けて船の上から自由落下(フリーフォール)させました。
うまく目標の海底に着陸できていることを祈ります。
今度回収するときには、しんかい6500などの出番となることでしょう。

[きょうの写真]
上/イソギンチャクを背負ったオキヤドカリ類
下/ハイパーから送られてきたフクロウニの画像

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-12 「なつしま/ハイパードルフィン」による沖縄トラフ 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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