2008年12月22日

相模湾(2)初島沖で初めての試み / 伊藤

  • 期間:2008年12月21日~2008年12月24日
  • 場所:相模湾
  • 目的:深海生物調査
  • 担当:伊藤 ・ 豊田


みなさまこんにちは。魚類担当の伊藤です。
今、私たちがいるのは伊豆半島のちょっと東側、船から十分に陸が望める相模湾初島沖です。

本日は南風の影響か、少し白波が立つ海況でしたが、無人探査機ハイパードルフィンによる2度の潜航がおこなわれました。
当航海の目的の1つは湧水のある海底に分布するシロウリガイを採集して水上で再び水圧をかけて、うまく飼育するためのデータを取ることです。
水深 900mから引き上げられたシロウリガイは急激な環境の変化のためか、長生きしないものが多く、飼育がとても難しいのですが、これを当館にも展示されている「ディープアクアリウム」に収容して再び加圧、もといた場所の水圧に戻してやると、個体にもよりますが、真っ赤な水管や足を気持ち良さそうに伸ばしはじめます。
これまでは採集した貝をそのまま水槽に入れて、生きてくれることを祈るだけでしたが、今回は「治療」をしてから飼育しようという斬新な試みです。
これらの個体は一部、新江ノ島水族館の化学合成生態系水槽へと運ばれ、継続飼育がなされる予定です。
何とか長生きしてくれればいいのですが。

さて、それはそうと、初めて航海に参加した豊田さん、ウキウキと新鮮な環境に馴染んで楽しんでいて何より、と思いきや、なにやら顔色が優れないようす・・・
採集された生物の処理は大急ぎで、しかも下を向いておこなう場合が多いので、船に弱い人はウッとなるのです。
今のところ、ガッツで頑張っています。
私も便乗して酔わないように、気を引き締めて頑張りたいと思います(今のところ、食事は残さず美味しくいただかせてもらっています)。

[きょうの写真]
上/あたり一面シロウリガイの深海底(殻もかなり多い)
下/シロウリガイ治療室こと「ディープアクアリウム」

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-25 「なつしま/ハイパードルフィン」による相模湾 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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