みなさんこんにちは。
ちょっとした揺れが体にきつく染みる豊田です。
さて、きのうは伊藤さんがシロウリガイの話をしていたので、きょうはもう一方の調査目的である、鯨骨に集まる生物群集調査に関して少しお話します。
私は学生時代、少しクジラに関して学んでいたのですが、扱うのはもっぱらクジラ自身のこと。
年齢はどうだとか、体長はどうだとか、成熟状態はどうだとか、そんな感じでした。
しかし、今回実際に見た“クジラ”へのアプローチは全く異なるもので、目から鱗でした。
それは、クジラが死んで沈んだ後、海洋生態系の中でどの様な役割を担うかというものです。
なんと、沈んだクジラの周りには、これでもかというほどいろんな生き物が集まってくるんです。
魚やカニなどたくさんです!!
どうやらクジラの体の多くの脂肪や、骨の成分が、餌が少ない深海では大変なご馳走になるようです。
何もない深海に突如現れる巨大な物体・・・ と思いきや魚の群れ、群れ、群れ、そしてクジラ。
今回調査した場所には、まだあまり腐敗が進んでいないクジラがいたため、魚たちがクジラの皮膚に頭を突っ込むようにしていました。
それはまるで巨大なメデューサのよう。
あんな光景が生きているうちに見られるとは、感激です。
死してなお役割が有る・・・ 。ん~素晴らしい。
なんて、新たなクジラの魅力に酔いしれていたら、その後の作業で本当に酔ってしまいました。
きのうは、調査終了後、伊東で開かれる花火大会を運よく見られました。
海側からという特等席に陣取ったはずが、揺れが激しく、気づいたら水を激しくかぶっていました。
花火大会鑑賞はものの 2分ほどで終了し、これは作業をせよ、というお達しだと感じずにはいられませんでした。
気が引き締まりますね。
さて、ハイパードルフィンの潜航もいよいよ大詰め。
きょうの 2潜航を残すのみとなりました。
きょうはどんな世界を見せてくれるのか楽しみです。
船に弱いこのポンコツな体が最後まで持ってくれるといいのですが・・・ 。
[きょうの写真]
上/海上から見る花火(この数十秒後に・・・ )
下/Aフレームとハイパードルフィン
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-25 「なつしま/ハイパードルフィン」による相模湾 深海生物調査航海
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。