暑い・・・ 。背中が凄い勢いで熱せられてきた。
体中に貼り巡らせたカイロが完璧に裏目に出ている。
熱くて暑い。
室内で3時間居ることは全然頭に無かったのだ。
色んな体勢で背中のカイロをかわそうとモジモジしてみたけれど、結局我慢しきれず背中のカイロは全部ひっぺがしてしまった。
なかなか思い通りには行かないものです。
再び、目をつぶってうつらうつらしていると、エンジンの音が静かになった。船員さんもパッと起きて外に出て行ってしまった。どうやら到着したらしい。
私たちも立ち上がり外に出てみると、ほんのり明るくなっていたが、まだ暗い。
時計を見ると6時25分だった。
場所は御前崎沖。駿河湾を3時間でほぼ横断してしまったようだ。
船員さんは船の艫でテキパキ作業をこなして行く。
ここで深海トロール漁とはどんな漁法なのか、簡単に説明したいと思います。
まず網、これは風邪ひいた時のマスクを思い浮かべてください。そのマスクの真ん中だけがビョーンと伸びて細長い袋状になった様な形、それがトロール用の網の形なのです。
そのマスクの耳にかけるゴムの部分にそれぞれ紐をくくり付け、船で引っ張って行きます。
網は海底をズリズリと擦りながら海底に生息する生き物を捉えます。網が通る所にいる生き物を一網打尽にする、それがトロール漁なのです。
つまり、漁師さんが狙ったもの以外にもいろいろと生き物が入ります。
そのなかで生きているものが私たちのターゲットとなるのです!
漁の実際の方法ですが、まずは網の片方に付いている縄にブイを付けて、海へ投入します。船はブイを残し、海上を網をドンドン送り出しながら走ります。
ちょうど「O」の時を書く様にグルッと回ってまたブイの所に戻ってきます。これで網の口が大きく広がると言う具合です。
ブイを引き上げ巻き上げ機の縄に繋げ、あとは20分ほど人が歩くような速度で網を引いて行きます。
船が止まり巻き上げ機が唸りガンガン縄を巻き上げる。
しばらくすると網が見えだし、途中で網に引っかかった小さな魚がちらほら見えだした。
いよいよだ!
どうしても興奮してきてしまう。
最後の袋部分の口を絞りクレーンでつり上げられると、袋の中は何かがいっぱい詰まっているのが見えた。
船上まで引き上げられると、船員さんが袋の底に付いたチャックをバッ!と開いた。
袋の中身が雪崩の様に船上へ出てきた!
全部生き物だ!
凄まじい数の深海生物で船の後ろに小山になった。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。