展示がスタートして半月が過ぎましたが、今も会社帰りや休日を利用して昆虫採集に出掛けています。
通常、生物は展示がスタートする前までに万全に収集しておくものです。今回もそのつもりでかかりましたが、相手は昆虫です。特にこの時期に寿命がやってくる昆虫の場合、展示中に寿命が尽きてしまう場合があるので、常に控えの選手を採集してバックヤードで飼っておかなくてはならないのです。
そんな昆虫の筆頭はシロスジコガネです。
4年前に当館で繁殖を試み、採卵、幼虫の育成から羽化、新成虫同士の産卵に成功といといとあった、当館ゆかりの海浜昆虫なのでぜひ主役に据えたかったのですが・・・ 。
繁殖研究の過程で判ったことなのですが、本種の成虫の寿命がセミのごとく、とても短いのです。
しかも、出現の盛期が6月下旬から7月上旬であり、8月はもうほとんどシーズンオフ。何とか生きている姿をお見せしたいので、街灯周りで採集した個体を展示していますが、砂に潜って産卵体制に入ってしまうことも多いです。
そんなわけで、生体があまりご覧いただけない時のために、水槽中央下段に標本を、併設したモニターに元気に動く映像を、それぞれ展示しました。
興味を持たれた方は、来年の初夏に、海辺の周りで探してみてください(私が採集している場所はヒミツです)。
現在、展示とは別に、バックヤードで飼育下繁殖三世の幼虫たち(2009年6月産まれ)がすくすく成長中です。うまくすれば来年の初夏に羽化して、飼育下四世を狙えるかもしれません。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。