さて本日の内容は10演目。
海洋生物を飼育するにあたってのトレーニング方法や、そこで起こる危機管理、脳神経学から見たのトレーニング、トレーナー自身の教育、実際の例を挙げながらのさまざまな角度からの条件づけトレーニングなど、実際に犬や馬など特定の専門的な動物トレーニングを経験された方であれば何をいっているかはお分かりいただけると思いますが、ただ単に飼育するということではなく、さまざまな意義、意味を持って水族館や動物園の生き物たちが飼育されているということなのです。
本日の演目で印象に残ったのは、高齢なカリフォルニアアシカ(オス)で、すでに片目が白内障?で視力がなくなっていて、もう片方も視力が衰え始めているため、目の手術を目的とした移動や環境への適応、検査など、それに必要なトレーニングを実践するというもの。
そのトレーニング事態が、ふれあい体験に参加させたりすることであり、さまざまな人と接触させたりすることへもつながっていて、それを実践している過程の映像を織り交ぜながら手術をおこなうことに成功し、手術後に両目が見えるようになってから餌の選り好みがでてきたり、術後の不安定期を乗り越えていった映像も含めて紹介されていた発表でした。
私もかつてオタリア(南米アシカ)やゴマフアザラシを担当していたとき、一番困難な症例の一つとして、目の白濁とそれによる視力低下がありました。
残念ながら、いまだに明確にそうなってしまうことは解明できていないようです。
水族館や動物園で飼育技術が安定してくると、野生よりも長く生きていけることができるようになります。
みなさんの一緒にいる生き物たちでも、同じような問題はおこっています。
ハンディキャップが出てくると、どうしてもさまざまな制約がでてきて、今まで通りとはいかなくなってしまいますが、そこで環境をかえること自体がよくない方向へ導いてしまうことも多くあり、高齢問題は我々だけのことではありません。
たぶん受け取り方はさまざまだと思いますので、良いとか悪いとかの話はいたしませんが、世界各国の動物トレーナーが日々自身が担当している生き物に対して、こういった姿勢を持って取り組んでいるということが少しでもご理解いただければ幸いです。
宗教や文化が違う、生活習慣、環境が違う人たちがこういったことで、意見交換しているところ、それがIMATAです。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。