2012年03月29日

石垣島(2)沖縄のカタツムリを探すべし

  • 期間:2012年3月28日~3月31日
  • 場所:石垣島
  • 目的:陸棲及び淡水棲生物の調査
  • 担当:伊藤


きょうから本格的に調査です。
今回のメインターゲットは「カタツムリ」。広い意味では陸上や水際にいる巻貝の呼び名ですが、その解釈は時と場合で異なるようです。
南西諸島は日本でも特に陸貝が繁栄する場所です。
とはいえ、私は本気でカタツムリ探しをしたことがない・・・
子どもの頃、ブロック塀で捕まえたものを飼っていたことはありますが、ほとんどシロート。
事前に図鑑などで生息種の特徴や、生息環境を調べて望みました。
石垣島はここのところ雨がなく、カラッとした気候。果たして見つけることができるのでしょうか。

島の市街地からちょっと内陸部へ車を走らせると、すぐに広大な水田や畑(サトウキビやパイナップルでしょうか)が現れます。そうした農地の隅っこにある伐採された木や、朽ちた農具、ダンボール箱を見つけ次第、ひっくり返してみました。

巨大な外来種、アフリカマイマイがすぐに見つかります。
食用として日本に持ち込まれたものが逃げ出し、いまや世界的な農業害貝です。
きちんと調理して、食用にしている国もあるようですが、植物防疫法によって持ち運びが禁止されています。
綺麗な貝なのですが。

次に見つけたのがベッコウのようにつやつやした貝殻を持つカタツムリです。
写真のように集団で冬越ししていたみたいですが、動きが早い!次々と覚醒すると肉が黒い!毎秒 2~ 3cmくらいのスピードでどんどんはっていきます。
後で調べてみるとこちらも外来種みたいです(アジアベッコウ?)。
 
これはナメクジか!?
よく見ると背中に小さな黄土色の殻が見えます。
これも外来種「ヒラコウラベッコウガイ」。
嫌いな方はごめんなさい、ですが普通のナメクジと違って、長い「つの」をピンと立てて活動するので、顔つきはカタツムリ。
ちなみに私は顔がしっかりしている生物、ナメクジやヘビまでは平気です。
青虫タイプやミミズタイプの生物は苦手です。
湿度と温度に恵まれた石垣島は、魚類だけでなく、カタツムリにとっても移入、定着してしまいやすいエリアのようです。

アジアベッコウに混じって申し訳なさそうにいるのが、オキナワウスカワマイマイ。
正直、関東にいるウスカワマイマイとそう違いがありませんが、やっと在来の種に出会えてほっとします。
動きもカタツムリらしいゆったり感。じれったくなるくらい待たされてやっと、つのを出します。

さて、ここでちょっと重要なお話。
アフリカマイマイをはじめとした陸貝の体には、人命に関わる寄生虫「広東住血吸虫」がいる可能性があるので、素手で触るのはよくありません。
できればば使い捨て手袋などを用い、接した後はよく手を洗いましょう。
普段の魚採りでは泥だらけの手でオムスビを食べる私も、流石に今回は飲用兼用のお茶で手を洗いながら調査しましたよ。

ともはれ、外来種ばっかりですね。
ちょっと不安を覚えつつ、あしたはもうちょっと違った環境を探しに行ってみます。

石垣島の畑石垣島の畑

道端の石をどけるとたくさん道端の石をどけるとたくさん

アグレッシブなアジアベッコウ?アグレッシブなアジアベッコウ?

不思議な姿のヒラコウラベッコウガイ不思議な姿のヒラコウラベッコウガイ

癒し系オキナワウスカワマイマイ癒し系オキナワウスカワマイマイ

太平洋

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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