2013年04月10日

房総沖・相模湾初島沖(9)航海日誌 4月10日 9日目

  • 期間:2013年4月2日~2013年4月10日
  • 場所:房総沖・相模湾初島沖
  • 目的:船上飼育及び輸送方法の開発、シロウリガイ類などの化学合成生態系生物の化学合成生態系水槽における長期飼育及び行動観察
  • 担当:杉村


みなさん!こんにちは。

きょうは下船日、朝9時ちょっと前にJAMSTEC横須賀本部へ入港です。
少し肌寒い朝でした。
7:30の朝食を終え、あわただしく片づけ作業をはじめます。
昨夜の最後の作業の後にあらかた船内の片づけは終わらせておいたので、きょうは実験道具や飼育道具の詰まったコンテナを甲板へあげていきます。
中には遠心分離機やパソコンと連動する顕微鏡などもあります。
陸の実験室をそのまま船の中に作ってしまうわけですから、当然といえば当然なのですが・・・
改めて見てみるとものすごい量の荷物が積み込まれていたんだなあ~と感じました。

さあ、徐々に港に近づいていきます。
いよいよ、「なつしま」をおります。
とても長いようで早かったこの9日間、なんだかホッとするような、寂しいような・・・。
・・・入港するとそんなちょっとセンチな気持ちはあっという間に片隅に置かれ、人海戦術で大量の積み荷を次々に降ろしていきます。
何度乗船しても荷下ろしは大変な作業です。
そうこうするうちに、JAMSTECの入り口の門にお迎えのトラック「えのすい号」が見えました。
根本、北嶋両トリーターが降りてきて、合流です。

その後、午前中いっぱいかけて実験用サンプルの仕分け作業や実験室、コンテナラボ、居室の清掃をして下船となりました。
いよいよ、“えのすい”に帰ります。
「なつしま」よ、ありがとう!!
なつしまのクルーのみなさん!!お世話になりました。

シロウリガイを飼育実験用に水族館へ持ち帰りました。
シロウリガイは一見すると細長いハマグリのような貝ですが、プランクトンなどは食べずに硫化水素を体内に吸収し、鰓に共生する共生菌がその硫化水素を利用して行なう化学合成によってできるエネルギーを頼りに生きています。
そのため、飼育が非常に難しい貝なのです。
昨年の航海で持ち帰ったシロウリガイは153日という長期に渡って飼育することができました。
今回はこの記録をさらに更新し、合わせて飼育水槽内の硫化水素などの水質環境の測定をおこなうことでシロウリガイの生態の解明をおこないたいと思います。

また、シロウリガイは実はとても活動的で自分の棲みやすい場所を探して歩き回るようなのです。
そんなところもみなさんにお見せできたらいいなと思っています。
できるだけ長く飼育して行動観察ができるよう、精一杯シロウリガイをサポートしたいと思いますので、どうぞこの機会に大勢の方にシロウリガイに会いに来ていただけたらと思います。
また、同時に水槽内での飼育実験のようすもご覧ください。

では、“えのすい”で再びお会いしましょう!!

全 9回に渡り、この航海日誌にお付き合いいただきましてありがとうございました。

最後にこの場を借りまして、この航海をご一緒させていただきました首席研究者の吉田さまを始め多くの研究者の皆さま、支援母船なつしまのクルーの皆さま、ハイパーチームの皆さまに深く御礼申し上げます。

JAMSTEC横須賀本部へ入港JAMSTEC横須賀本部へ入港

えのすい号えのすい号

なつしまなつしま


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT13-07JAMSTEC「なつしま/ハイパードルフィン」による房総沖・相模湾初島沖調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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