2013年04月09日

房総沖・相模湾初島沖(8)航海日誌 4月9日 8日目

  • 期間:2013年4月2日~2013年4月10日
  • 場所:房総沖・相模湾初島沖
  • 目的:船上飼育及び輸送方法の開発、シロウリガイ類などの化学合成生態系生物の化学合成生態系水槽における長期飼育及び行動観察
  • 担当:杉村


みなさん!こんにちは。

ついにきょうは調査最終日!
潜航はきょうで終わりです。
早いような、遅いような・・・
はじめは久しぶりの航海で緊張気味でしたが、今ではみなさんともうち解けるようになり、いろいろと研究のお話や飼育のお話など、船の夜の時間を仕事しながらも楽しく過ごせるようになりました。
あしたには下船してしまうかと思うととても寂しいです。
これを機会に下船しても今後に情報交換ができるといいと思っています。

さて、きょうも予定通り潜航できました。
きょうの相模湾のようすを聞くと波が荒くて、とても潜航できるような状態では無かったようですね。
深海チームの根本君からは、
「きょう、潜航できるとは思っていませんでした。奇跡です!!」
とメールをもらいました。
確かにきのうに比べ風も強く、場合によっては途中で潜航中止になるのではと、コントロールルームに「なつしま」のキャプテンから連絡が入り、冷や冷やしながらの調査でした。

相模湾の海底には相変わらずのマリンスノー。
相模湾の豊かさがよく分かります。
このマリンスノーが、相模湾の深海を養っているんですね。
海底にはゲンゲの仲間とエゾイバラガニを非常に多く見られたことが印象的でした。
先日の日誌にも書き込みました名前のまだ無いゲンゲの仲間ですね。
その他にも黒い色のゲンゲも見られました。
ハイパードルフィンがマニピュレーターで作業を始めると、ヒバリガイやハオリムシの隙間から追い立てられるようにヒョロヒョロと泳ぎ出します。
ゲンゲは泳ぐ姿が何ともカワイイ魚ですね。
深海魚というとグロテスクなイメージが先行しますが、愛嬌のある魚も意外と多いんですよ。
他にはエゾイバラガニは全長 10cm程度の小さな子どものカニも多く、シロウリガイのコロニーの上を歩き回り、深海性のタコの仲間やカサゴの仲間、一瞬でしたが大きさが 50~ 60cmのイカの仲間が泳ぎ去る所も見られました。
きょうは今まで一番にぎやかな海底でした。
こんな潜航も楽しいですね。
たくさん、ハイパードルフィンの水中カメラで撮影しましたよ。
みなさんにもいずれ公開できるかもしれません。
そして、いよいよ浮上の時間です、名残惜しく海底を離れます。
ハイパードルフィンありがとう!そして、ハイパーチームのみなさんありがとうございました。

さてさて、きょうで潜航のようすを日誌に書くのもおしまいです。
研究調査の内容については、みなさんには細かくお話しできないので私が見たり、感じてきた海底のようすを日誌につづってきました。
少しでも相模湾の海底のようすをイメージしてもらえていたら、嬉しいです。
また、船上での楽しみや苦労なども伝わっていたらと思います。
さあ、あしたはいよいよ下船です。
これから下船の準備を始めたいと思います。

では、また次回。

[きょうの写真]
上/こんな感じで低温室(大型冷蔵庫)でサンプルを飼育しています。
(カゴの中に生物を入れて、潜航ごとに分けています)
下/これが、航海中の私の唯一のプライベート空間です。

低温室低温室

プライベート空間プライベート空間



海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT13-07JAMSTEC「なつしま/ハイパードルフィン」による房総沖・相模湾初島沖調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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