2014年04月12日

伊豆・小笠原弧 熱水域調査航海(5)4月12日 潜航初日 明神海丘

  • 期間:2014年4月11日~2014年4月20日
  • 場所:伊豆・小笠原弧の熱水域
  • 目的:伊豆・小笠原弧 生物群集調査
  • 担当:根本
潜航準備をするハイパードルフィン潜航準備をするハイパードルフィン


今回の部屋は 3階の“端艇甲板”の左舷側の二人部屋です。
朝起きるとカーテン越しに朝日が差し込み、揺れもなく、調査に支障がない天候である事を知らせてくれます。
普段は船の一番下にある窓が鉄蓋で占められている第二甲板の部屋になることが多く、部屋を出て、旧しんかい2000の格納庫まで上がってこないと天気がわかりませんでした。
朝日で目覚めるこの安心感、陸上では当たり前なのですが、妙に新鮮に感じます。

本日の潜航場所は明神海丘。
カルデラのある海底火山なのですが、そのカルデラ内に潜航します。
過去の潜航のデータを元に「シンカイヒバリガイ」が多く生息する熱水噴出域をいくつか選び、観察をしながら巡っていきます。
潜航するのは「無人探査機ハイパードルフィン」という 3000mまで潜航できる探査機です。
基本的な装備はマニピュレーターと呼ばれるカニのような“腕”が 2本とカメラ数台と、シンプルですが、研究者が用意した機材やセンサーなどを装備できるように供給電源や信号のコネクターなどがあり、潜航前にはその日の調査に特化した機材を装備したスペシャル仕様になって潜航します。

初日潜航では明神海丘で「シチヨウシンカイヒバリガイ」を採集するため、生物採集用の機器が装備されています。
その中で主役を張るのが“スラープガン”と呼ばれる、水ごと生物を採集する事が可能な水中掃除機のような機械です。
今回はこれを 2台搭載しています。


7連キャニスター

左腕には、7本のボトルがリボルバーのように回転する“ 7連キャニスター”を装着しており、地点間や生物種ごとに採集し分けて保管することができます。
右腕には容量最優先の“単式キャニスター”が装着されています。


単式キャニスター

その他さまざまなセンサーや採水器、採泥器を積んだハイパードルフィンが“Aフレーム”という、船尾のクレーンで釣られ潜っていきます。


着水するハイパードルフィン

何回も訪れている明神海丘ですが、地図と記録と記憶を頼りに、目で見て探す深海調査では何が起こるかわかりません。
今回はどんな潜航になるか。
たくさんの船員さんやチームの方々の潜航作業の向こう側にハイパードルフィンが浪間に消えていくのを見送り、右舷の舷側にある階段をのぼり、上甲板に設置されているハイパードルフィンをオペレートする“コントロールルーム”に向かいます。


本調査は、JAMSTECが東京都から特別採捕の許可を得て行っているものです

JAMSTEC(海洋研究開発機構)NT14-06「なつしま/ハイパードルフィン」による複数の海山カルデラ周辺における底生生物群集調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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