みなさまこんにちは。
約 2か月ぶりに北里大学獣医学部のある青森へやってきました。
展示のためお借りしていた貝を大量に担いで現地入り。
今回も青森県東部にある姉沼の生物を調査することが目的です。
詳しいことは以前の日誌を参照していただくとして、前回、沼で採集した魚に貝の幼生がたくさん寄生していたとお知らせしましたね。
実はあの後、魚体からは続々と変態した稚貝が離脱してきました。
担当の学生さんが来る日も来る日も貝の世話を続けてくれていました。
それがなんと、今も生き残っているとのこと!
その賜物がこちらの写真。
これぞイシガイ類の稚貝です。
変態して50日ほど経過しており、驚くことに殻長は 0.3mmから 1.2mmほどまで成長していました。これは凄いです。
イシガイ類の生活史の中でこの「魚から離脱した時期」が最も弱く、飼育下で成長させるのがすこぶる難しいのです。
私も別の種類で何度か挑戦していますが、1mm以上に成長させたことはありません。
はっきりいって快挙であり、柿野先生も大喜びで開口一番にお知らせくださいました。
それを聞いた私も大はしゃぎ。
実際に貝を見たのは後日でしたが、待ち遠しくて仕方なかったです。
この「ようやく肉眼で形が分かるようになった稚貝」、背中には幼生時代の殻を背負ったままであり、その内側から左右に本来の殻が大きく張り出して成長しており、想像していたより横長です。
色はまだ出ておらず半透明。足も離脱直後とほとんど変わらず、細長くて伸び縮みしています。
飼育方法の確立や、生産性の向上はまだまだこれからですが、これまで体の形や動きといった基本的な情報すらなかったので、大変価値のある成果が得られたといえましょう。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。