2015年10月09日

湯河原ソコイトヨリ採集(3)輸送編/鈴木

  • 期間:2015年10月9日
  • 場所:神奈川県 湯河原
  • 目的:乗船採集展示
  • 担当:鈴木・神応・岩崎


さあ結果は・・・吉でした! いや大吉でした!
神応・岩崎トリーター両名の腕前もさることながら、やはり、深場系の魚種を中心に魅力ある種がいろいろと釣れました。もちろんコンスタントにソコイトヨリも釣れ、狙い通りの結果です。
残念ながらうまく生かすことができませんでしたが、中でも、いつかは展示してみたいと考えていたアカタチ科の仲間のスミツキアカタチが釣れたのは今後に繋がる大きな成果です。次回はリベンジしたいです。


船長さん、いろいろと無理を叶えていただきありがとうございました。

お昼頃納竿、帰港します。
お目当ての魚は釣れました。第一段階はクリアです。
さて、ここからが本当の勝負、次は水族館への輸送です。
例えたくさん釣れたとしても生かして持って帰れなければ意味がありません。
遠足の決まり文句と同様、水族館の水槽に元気に移すまでが採集です。
その前にまずは、今後の状態を大きく左右する船槽からトラックのタンクへの移動です。
ストレスが少ないように慎重かつ迅速に魚をトラックの海水タンクに移します。もちろん、計画通りペットボトル氷で予めタンク内の水温は合わせてあります。
計画通り、ここまでは順調です。
そして、ここで思わぬお土産が!?
船長さんが予め生かしてくれていた船槽のカマス(ヤマトカマス)を譲ってくれました。
おぉ・・これはソコイトヨリに匹敵する価値があります。ありがとうございます。

私の興奮はさておき、タンク内に擦れを緩和する薬を入れ、船長さんに別れをいって、“えのすい”へ向け港を出発します。


車内では魚たちが元気に生きているか、内心ドキドキです。
やはり、湯河原からなので近いです。
到着してすぐにタンクの蓋を開け、中を確認します。
・・・おー!元気に泳いでいますよ!

それでは輸送の最終段階、トラック→予備水槽への移動です。
リニューアルした予備水槽の出番です。予め水温等を合わせ準備していた水槽に収容します。
輸送も無事クリアです!
魚の状態を見ます・・・擦れもほとんど無くなかなか良い状態です!
やりました。採集完了です。
結果的に、ソコイトヨリは 25尾ほど釣れ、うまく水族館へ持ち帰れたのが 10尾でした。
約 4割です。これは前回の数字を上回る結果です。
しかし、まだまだ安心はできません。 1割とはいえ、ここまでは前回もできています。
この魚の本当の難しいところはこの後の飼育です。傷等をトリートし、水槽に慣れてもらい、餌を食べてもらうことです。
これが成功すれば晴れて展示へと出せるわけです。
いよいよトリーターとしての腕の見せ所です。


さて、ここからは後日談。
途中やや不調な時期がありましたが、乗り超えることができ、その後は順調に進み、餌も良く食べるようにまでなりました。
そして、採集から 10日後、晴れて展示水槽へ状態良く出すことができました。
最初は他の魚を気にしていて落ち着かないようすでしたが、今では水槽内で餌も食べるようになり、より元気に泳いでいます。
裏での飼育の際には、臆病で少しの物音でもかなり驚いているようすでしたので、気弱な性格と思いきや、慣れてくるとやや強気な雰囲気になり堂々と泳ぎ、他の魚にも負けないようすです。また、餌はオキアミやマグロの切り身ですが、食べるのはとてもゆっくりで、今のところ水槽底に落ちた餌をマイペースでゆっくり食べているような感じです。
これらは飼育ができたからこそわかることで、新たな生物を飼育した際の我々トリーターの楽しみの一つです(^^)
みなさま、ぜひともソコイトヨリを見に来てくださいね!


以上となります。
みなさま長々お付き合いいただきありがとうございました。
今回の採集では当初の予想を上回るできでした。大変うれしいです。
今後は良い状態を保てるように飼育に励みます。

最後に、毎度のことながら、今回もたくさんのサポートをして頂いた天恵丸の船長さん、本当にありがとうございました。
また近々お世話になりますので、その際もどうかよろしくお願いいたします。

※ソコイトヨリの展示は11月2日をもちましていったん終了しております。

相模湾ゾーン

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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