2016年05月06日

相模湾初島沖調査航海(2)2日目

  • 期間:2016年5月5日~2016年5月9日
  • 場所:相模湾初島沖
  • 目的:深海生物調査 採集
  • 担当:杉村
私の居室:航海日誌ここで書いてます。私の居室:航海日誌ここで書いてます。


きょうは、朝から曇りがち。
しかし、海上は波もそれほど高くなく無事予定通り潜航調査がおこなわれました。

いよいよ本航海初潜行。
水深 900m付近を目指し、ハイパードルフィン(HPD)は徐々に水深を下げていきます。
海底までの海中には、サクラエビやヒドロクラゲ、真っ赤なヒオドシエビの仲間などが私たちの前に姿を見せてくれました。

HPDは着底すると海底の崖に沿ってゆっくりと進み、シロウリガイのコロニーに向かいます。
途中の岩場ではイソギンチャクが付着し、岩と岩の隙間からはサツマハオリムシga
10~ 20個体くらいずつ棲管を伸ばしていました。
また、岩場の陰には大きなカサゴの仲間も数個体見ることができました。

しばらく航行すると、非常に広範囲に広がるシロウリガイのコロニーに到着。
泥の上に所狭しとシロウリガイがひしめき合って埋まっています。
大きな貝の隙間から泥に埋没している小さな貝が水管だけを水中に伸ばして呼吸しているようすも観察できました。
心なしか数年前に比べるとその数が増えているようにも感じました。
生貝と死殻が混在していましたが、生貝の方がたくさん見られたことはとても嬉しかったですね。
シロウリガイコロニーの中をしばし観察すると、エゾイバラガニがのっそり動き、ハサミに何か貝殻のような物を持っています。
シロウリガイ?それとも地殻に生息しているヒバリガイの仲間でしょうか?
水深 1000mの深海世界でゆったりとした生き物たちの生活を垣間見ることができました。
相模湾の生物の豊富さが伺えます。
この海域は、深海の中でも化学合成生物の棲む湧水域です。
※しんかい2000が、日本で初めて発見したことでも知られています。

地殻が沈み込んでできる付加体と呼ばれる場所で海底の泥の中からは硫化水素がしみ出ている場所です。
そのため、10cmも泥を掘れば泥は真っ黒く変色しています。
※“えのすい”の深海水槽では、この湧水を水槽の中で再現しているので水槽をよく見ると泥の中は真っ黒になっていますよ。

この独特な生態系を創り出すシロウリガイコロニーでは環境測定などがおこなわれ、また生物の調査がおこなわれます。
年に数度という潜航調査の中で、さまざまな実験がおこなわれ深海の謎が少しずつ解き明かされていきます。
私も微力ながらもその一端に加わらせていただいていることに、この船上において改めて感動しています。


ラボ(実験室)のようす

さて、あすの潜航調査はどうでしょうか。
予報ではちょっと荒れるようなこともいわれています。
無事調査ができることを祈りたいと思います。

長くなりましたが、本日はここまで。
またあした!!


初島と富士山


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KS16-04「新青丸/ハイパードルフィン」による深海生物調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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