2016年05月07日

相模湾初島沖調査航海(3)3日目

  • 期間:2016年5月5日~2016年5月9日
  • 場所:相模湾初島沖
  • 目的:深海生物調査
  • 担当:杉村
潜航前の安全確認「ゼロ災で行こう!よし!」潜航前の安全確認「ゼロ災で行こう!よし!」

きのうから心配された天候もクリアになり、きのうより30分遅れで潜航が開始されました。


HPDの振り出しのようす

本日の調査地点は、ちょっと深めの水深 1,100m付近です。
この水深には「初島ステーション」があります。
初島ステーションは、テレビカメラや地震計、水圧計、流行流速計などを備えて海底のようすをリアルタイムで観測するため、平成5年にJAMSTECによって設置された海底観測ステーションです。
私はこれまで、何度か初島沖の調査に参加してきましたが初島ステーションを見るのは初めてです。
私が、“えのすい”の深海水槽で継続しておこなっている「飼育下におけるシロウリガイの行動観察」の参考にした資料もこの初島ステーションのリアルタイム映像から得られた論文なのです。

初島ステーションの周辺にはシロウリガイのコロニーの他に白いバクテリアマットが海底が初島ステーションの周囲には広がっていました。
海底はとてもふわっふわな泥で覆われていて、ハイパードルフィン(HPD)が観測のために着底すると巻き上がった泥が 30分ちかくも晴れないほどでした。
海底表面には、バクテリアマットに混じって小さな巻き貝やヨコエビの仲間と思われる生物たちが見られました。
水深 1,000mの深海底でも、かれらは一生懸命生活しているんですね。
何度みても感動します。

水深 1,100m付近ではきのうの 850m付近とは違い、岩場が少なく周囲には泥場が延々と広がっていました。
シロウリガイコロニーは小規模コロニーで点在して、コロニー間やその中をよく見ると泥の上をシロウリガイが這ったような跡が数多く見受けられました。
“えのすい”の深海水槽と同じような這い跡でした。
移動中?(シロウリガイの移動速度はめちゃくちゃ遅いので・・・)と思われるシロウリガイも見られました!!


研究者みんなで潜航映像に釘付け!(調査中です)

この目で見られるとは大きな収穫であり、それにも勝る感動を得ることができました。
はやり実際に自然のようすを見てみないといけませんね。
机上の上だけでは、得られる情報の量が足りないことをこの目で見て改めて実感した潜航でした。

さあ、今回の調査潜航も残すところあすのあと1日のみ。
残りのあすの調査も無事潜航できますように、そして新たな感動に出会えますように。

ではまたあした!!


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KS16-04「新青丸/ハイパードルフィン」による深海生物調査

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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