2017年03月04日

江の島海藻調査(4)対岸にえのすいを望みながら

  • 期間:2017年3月5日(日)
  • 場所:江の島
  • 目的:江の島の潮間帯で見られる海藻相の把握
  • 担当:伊藤
江の島北西岸。写真左上に水族館が見えます。江の島北西岸。写真左上に水族館が見えます。


今回は島の西岸。これでだいたい島内をひととおり周ったかたちで、調査も一区切りです。
西岸は江の島の海辺でも通好みな場所といえます。
島の北北西に境川の河口があり、そこからの淡水が片瀬漁港と弁天橋下に堆積された砂(陸繋砂州、トンボロと呼ばれます)に挟まれながら流れ込むので、外海に面した開放的な景観にも関わらず、塩分が低くなります。
波はあれども河口域?みたいな感じです。
ちなみに本日測った塩分は海水の2/3程度でした。

その影響もあってか、動物の方は低塩分を好むユビナガホンヤドカリやケフサイソガニ類が多かったり、時に川から流されてきたらしきカエルやカメなどが見られたりと興味深いのですが、さて海藻は・・・

南の磯と比較して中~大型の海藻が明らかに少なく、寂しく感じられます。
目に入ってくる自生海藻は、ほとんどがハリガネ。
それ以外にカイノリ、オキツノリ、ヒラムカデといった南の磯でも多く見られた種がちらほら見られる程度です。
もっともこれは、私の海藻歴が浅いせいもあります。
より熟練すれば、汽水域ならではのマニアックな藻類が目に入るようになるかも知れません。


水際はほとんどこのハリガネばかり

それでも何かめぼしいものはないかと探すと、長い髪の毛のような海藻が浅いタイドプールに生えていました。
オゴノリの仲間でしょうか。
江の島では西岸で初めて見つけました。数は少なかったです。
そういえば、三浦半島の河口干潟でそれらしき海藻がたくさんあった気がします。
低塩分を好む(他の海藻に比べて影響を受けにくい)種なのでしょうか。


オゴノリ

帰りにオオバキントキなどの打ち上げ海藻を追加して、調査終了です。
駆け足でしたが、何とか天候や波浪に阻まれずに完了できました。
後は、気長に標本づくりと、データの取りまとめです。その過程で面白いことが分かれば、またどこかでお知らせしたいと思います。

この度は渋すぎる題材のチョイスにも関わらず、本日誌にお付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。

相模湾ゾーン

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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