2020年01月16日

相模湾鯨類調査

  • 期間:2020年1月16日(木)
  • 場所:相模湾
  • 目的:相模湾・東京湾に生息する鯨類種特定に関する研究
  • 担当:加登岡


みなさん、こんにちは!
魚やクラゲを担当するトリーターたちは、フィールドに出ての調査や研究を頻繁におこなっていますが、海獣類を担当しているトリーターたちも昨年の8月からフィールドに出ての調査を開始しました。
研究目的は相模湾と東京湾に生息する鯨類種の特定をすることです。
東京海洋大学と株式会社ファスマックと共同で目視調査と環境DNAから種の特定する研究を進めています。
環境DNAは採水した海水を調べることで、そこにどんな生物がいたかわかるというものです。
月に1回をめどに、東京海洋大学の「青鷹丸」に乗船して、三崎港から伊東港、網代港間を航行中に鯨類を探します。
朝 7:00、朝焼けがきれいな三崎港を後に、いざ鯨類を探しに出航です。


出航前の港

3人1組で調査し、1人が記録係、残り2人は船の先端で右舷側、左舷側をそれぞれ目視で探します。
時に双眼鏡を使いながら、目を凝らし、鯨類がいないかを確認していきます。


調査中の花上トリーター

鯨類を発見するために、海面に背鰭が出てこないか、噴気がないか、はたまた飛び跳ねていないかを見ていきます。
1回の調査で約 7~ 8時間海面を見るのですが、ずっと海面を見ているとちょっとした白波がイルカに見えてしまうこともあります。
水族館でイルカたちを見ている時には背鰭を発見するのは簡単ですが、自然界ではそう簡単にはいきません。
夏にも調査をしましたが、その時には、トビウオやシイラ、クラゲ類、海鳥を多数見ることができました。
しかし、今回の調査ではトビウオなど魚類は見ることができませんでした。

季節が変わり、生息する生物種も変わってきています。海鳥も見ることができましたが、その数は減りました。


確認できたクロアシアホウドリ


海面に漂うビニール袋

生物以外でたくさん見られるのはプラスチックごみやビニールごみです。
残念なことに生物はほとんど見られませんでしたが、ごみはたくさん見つけることができました。
ニュースなどで海のプラごみが問題としてあげられますが、実際に目の当たりにすると意外と多いと感じました。

調査中には途中何地点かで環境DNA調査用の海水を採水します。
この海水を大学の研究室に持って帰り、株式会社ファスマックと協力して鯨類のDNAが含まれていないが分析します。


東京海洋大学の院生と海水の採水をしている所

今回の調査では鯨類を発見することができませんでした。
しかし、この調査の数日後に伊東市の定置網でザトウクジラの混獲があったというニュースがあったので、鯨類が発見できる可能性はあります。
次の航海に期待です。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS