2020年08月31日

江の島 (2)大水槽のモデル地点で本調査1回目

  • 期間:2020年8月31日(月)
  • 場所:江の島
  • 目的:潮間帯と陸域のカニ類の調査
  • 担当:伊藤


みなさま、こんにちは。
前回の下調べを受けて、今回からは本調査です。地点を定めて入念に生息種やその密度を見極めていきます。

まずは江の島の南東岸です。
ここらは当館の相模湾ゾーンの「出会いの海」や「相模湾大水槽」のモデルにもなっている波当たりの強い岩礁です。
参加者は私と植田さんに加えて、経験者の崎山さん、そして初参加の元海獣類担当、加登岡トリーターです。心強い布陣です。


潮間帯での調査のようす。

まずは潮間帯。
カニの潜んでいそうな場所だらけです。石をひっくり返したり、ピンセットですき間をほじくったりして、ひたすら探索していると、あっという間に時間が過ぎます。
成果はヒライソガニやオウギガニがたくさんといった具合で、種としてはおなじみ。
まあ、予想通りです。
それもまた、江の島の自然が維持されていることが分かるので、成果として「あり」です。


これが江の島の「海辺」とは思えません。

次は潮間帯の上の方、普段はあまり調査対象にしていない海沿いの陸域「飛沫帯」です。
江の島の断崖からたらたらと淡水が染み出て湿り、岩場だというのに緑が茂っています。
こんな場所からは、あっと驚く意外なカニが見つかることがあります。


今年はベンケイガニが多い。


雌ベンケイガニのお腹。

ベンケイガニやアカテガニがけっこう見つかります。
みなさまからしたら「えっ!江の島にアカテガニがいるの?川のカニでしょ!」って感じじゃないですか。
そうなんです。これが江の島の面白いところ。
すごく乱暴な言い方をすれば、江の島は「境川の河口を遮るようにそびえる岩山」です。
河口に面していることに加え、島そのものからも淡水が染み出す、れっきとした淡水&汽水環境を持つ島なのです。

それにしても暑いです。
がけ崩れに備えてヘルメットをかぶっていたので、蒸れて仕方ありません。
次回の調査では秋らしいそよ風を期待しています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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