2020年11月27日

西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部 調査航海(3)

  • 期間:2020年11月25日(水)~12月12日(土)
  • 場所:西七島海嶺、中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部
  • 目的:新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査
  • 担当:八巻


航海3日目 音響 時化に備える

みなさんこんにちは!八巻です。
今朝はあいにくの曇り空でしたが、曇っているからこそ、雲間から光がさす光がきれいでした(写真 上)。
改めて四方を見回すと、陸も島も何も見えず全て水平線。なかなか見られる光景ではありません。

今日は予定されていた調査に変更があり、KM-ROVの潜航は行いませんでしたが、昨日同様採水調査は行われました。
調査海域は西七島海嶺で、昨日とは別の海山です。
日中私はランダーと呼ばれる調査機器の整備をお手伝いさせていただきました。
ランダーはさまざまな機器を搭載する観測装置で、海底に一定期間設置した後、浮上させ回収するというものです。


ランダーにはフロートがついていて、基本的には浮くようにできています。そこに重りを取り付け沈めて、後で重りだけを切り離すという仕組みです。
重りの切り離しには「音」を使います。空気中で信号として使われているような電波や光は水中ではすぐに減衰してしまうため、よく通る音を使うのです。
つまり、回収したい時間に船から音響信号を送ると、海底の機器が信号を受信して作動し、重りが切り離されて浮上する、という仕組みです。
最近はスマートフォンのGPSで自分の位置がすぐにわかりますが、水の中まで衛星の電波は届かず、正確な位置を知ることは難しいのです。
そこでやはり、水の中では音響を使って船からの相対位置を求め、それを船の緯度経度をもとに変換する、という位置の出し方をするのです。
イルカやクジラも音を使ってコミュニケーションをとっています。水中で「音」は信号としてとても大切なのです。

午後には準備したランダーを無事投入し、着底、回収を待つばかりとなりました。
その後は明日海況が悪くなるという予報が確実となり、時化に備えることになりました。
普段あまり揺れないときは気になりませんが、船は揺れだすと困ることがあります。置いてあるものが全て滑り出すのです・・・
よくよく観察すると船には揺れた時の対策が随所に見られます。
例えば居室でも、冷蔵庫の蓋に揺れてもあかないようストッパーが取り付けられています。
また棚には落下防止の棒がありますし、机の上に置いたパソコンが滑らないように滑り止めが置いてあります。




そして確実に時化るとわかっているときは、ラッシングという滑りそうなものをロープで固定する作業をして回ります。
実験室や冷蔵室には、ラッシングがしやすいようにアイボルトがいろいろなところに設置されています。これを使ってしっかりと固定していくわけです。
これを怠ると本当大変なことになりますので、みんなで回りながら危なそうなものを確実にラッシングしていきました。




今日は夕焼けも雲に隠れていましたが、これもまた一興ということで。


また明日。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM20-10C かいめい/KM-ROV 新たな海洋保護区(沖合海底自然環境保全地域)/管理のための深海を対象とした生物多様性モニタリング技術開発/日本周辺における沖合自然環境保全のモニタリング調査

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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