2022年10月18日

豊潮丸 高知沖生物採集航海(2)
2日目

  • 期間:2022年10月17日(月)~2022年10月21日(土)
  • 場所:高知沖
  • 目的:深海生物の調査採集
  • 担当:渡部


みなさんこんにちは。
八巻トリーターとともに豊潮丸に乗船している渡部です。航海2日目を迎え、初めて航海日誌を書いています。

今朝は波のうねりによる船の大きなゆれで目が覚めました。
なんとか起き上がり、食堂へ向かいました。午前7時から朝食の時間でしたが、乗船メンバーの半分がダウンし、ご飯をほとんど食べることができない状況でした。
私は少しだけご飯を食べましたが、大きな船のゆれに耐え切れず、酔いと戦うことになりました。

時折、体がかなり傾くほどゆれることがありました。昨日セットした水槽が落ちてしまわないか心配になり、限界をむかえながらも水槽をおさえに行きました。
八巻トリーターはこうした過酷な状況でも、ロープを使ってしっかり水槽を固定していました。私はそのようすをみるのが精一杯でした...
尊敬です!

午前8時から、ORIネットと呼ばれる大きな円柱型の採集道具を使って、水深およそ1,300mの深海に生息するプランクトンの採集が始まりました。
作業開始から 30分ほど、私は横になって再び酔いと戦いました。
しかし、未知なる生き物と出会えるかもしれないという一心で起き上がり、甲板へ向かいました。
いざ外へ出てみると、晴れていて風もあったので酔いが軽減され、飛んでいる鳥を見る余裕まで出てきました。

ORIネットと甲板のようすORIネットと甲板のようす

ORIネットは甲板への引き上げまでに約2時間かかりました。その間は、昨日採集した生き物の状態を確認したり、ろ過装置の掃除をおこないました。
鳥の撮影にも挑戦しましたが、動きが速くさっそうと飛んでいってしまったので、上手に撮れませんでした(泣)
 
午前 10時 30分ごろに、ORIネットが引き上げられました。
沢山の生き物が入っているように見えたので、わくわくしながらすぐにネットからバケツの中に生き物を移し、まだ元気そうな生き物を探しました。
ムラサキカムリクラゲの仲間、小さなコシオリエビ、ギガントキプリスなどが採集できました!
これまで図鑑でしか見たことのない生き物もいたので、感激しました。
この時もかなり船はゆれていましたが、そんなことはもうすっかり忘れていました。

ムラサキカムリクラゲの仲間ムラサキカムリクラゲの仲間

コシオリエビの仲間の稚ガニコシオリエビの仲間の稚ガニ

ギガントキプリスの仲間ギガントキプリスの仲間

しかし、午後に予定されていたドレッジ調査は、海況悪化のため中止になり、船はそのまま港へ向かうことになりました。
残念でしたが、船での作業は安全第一なので、仕方がありません。
明日は予定通り調査をおこなえることを願います。

午後3時ごろ港へ到着しました。湾内に入ってからは、ほとんど波がなくとても穏やかでした。先ほどまでのうねりが嘘のようです。
ようやく、採集したプランクトンをじっくりみることができました。
学生や先生方と協力しながら、ソーティングと呼ばれる生き物の仕分け作業をおこないました。
まるで宝探しのようです。

サンプルをソーティングする学生サンプルをソーティングする学生

顕微鏡でプランクトンを観察する三宅教授顕微鏡でプランクトンを観察する三宅教授

きょうは、全国的に見ても特に風の強い場所を通ってきたと船長から教えていただきました。
つらいはずです(汗) でも、これも乗船ならではの良い経験でした。

港はとても穏やかで、美しい夕焼けを見ることもできました。
きょうはこのまま停泊するので、明日に備えてゆっくり眠れそうです。
豊潮丸と夕日の写真を添えて、今日の航海日誌はこの辺でおしまいにします。
それではまた!

八巻トリーターが撮影した豊潮丸と夕日八巻トリーターが撮影した豊潮丸と夕日


広島大学生物生産学部附属練習船「豊潮丸」(広島大学)での北里大学海洋生命科学部の乗船実習

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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