2023年06月19日

江の島潜水生物調査

  • 期間:2023年6月7日(水)
  • 場所:江の島鵜島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:北嶋

江の島の潜水調査に八巻トリーターと行ってきました。
江の島に潜るのは昨年末に黒川トリーターとEFP(江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト)の海底清掃活動に参加して以来です。
今回の潜水生物調査は昨年の秋頃から新たに始めた取り組みで、江の島の生物相を知るための調査として始めました。
今回潜って見てきたことを少し紹介します。

ウミウシがたくさんいました。
江の島は以前よりウミウシがたくさんいるダイビングポイントとして知られています。特に多いのがムカデミノウミウシ、シロウミウシ、アオウミウシ。ムカデミノはポリプをシロとアオはカイメンを食べるウミウシですが、ここはその餌が豊富なのでしょう。

フジツボを背負ったヤドカリ。
「かわいーーーー!!!」水中で叫んでしまいました。イシダタミヤドカリは丁度良いサイズの巻貝の貝殻を見つけられなかったのでしょうか。アカフジツボを背負っていました。こんなの初めて見ました。ビビりな性格のようで、ちょっとこちらが動くとフジツボの奥に隠れてしまうので、じーっと出てくるのを待って写真を撮りました。しかし、パソコンで拡大してみるとピントがフジツボで残念。カメラの映りチェックはしっかりしないとだめですね。

ワカメは茎だけ。
海藻が減っている江の島で、ワカメだけは毎年生えています。というか、増えているような気もします。単なる見え方の問題のような気もしますが。ワカメの寿命は短く、冬に株が生えだして春に繁茂し、夏を迎える前に枯れてしまいます。 6月は枯れた残りの時期です。
江の島名物(だった?)のサザエは海藻を食べる巻貝で、本来ならば多年生のカジメやアラメといったコンブのように葉のかたい茶色い海藻を好んで食べていたのですが、ここ数年ですっかりなくなってしまいました。そんななかで生えているワカメは貴重な食糧。茎にしがみついてかじっていました。サザエを含む多くの巻貝は夜行性なので、夜になるとこういう光景がたくさん見られるのかもしれません。

ウツボもたくさん見ました。
江の島に潜ると必ず出会える魚の代表です。今回は若いウツボが岩陰に隠れずに全身出して岩の上に乗っている姿を何度も目撃しました。
堂々と大水槽底にいつも鎮座しているウツボたちと同じ状態です。ウツボって普通隠れているものでは、とおもっていたのですが。さすがに近づいたら逃げました。

ウツボといえばのタコは見ませんでした。
イカもいなかったですね。
キタマクラとハコフグはたくさんいました。

こうやって定期的にトリーターが潜って、刻々と変化している江の島の海の中が「今現在」どうなっているのかを知ることが、この潜水調査の重要な目的です。その情報を水族館の展示に反映させて、多くのみなさんに伝えることが私たちの使命だとおもうからです。

江の島の潮間帯(潮が満ち引きする海と陸の境目のこと)にいる動物の変化については、大先輩らが1987年より 5年毎に調べています。昨年には第 8回目(初回から35年目)の調査をおこないました。これまで過去と変化が見られないという調査はなく、海のようすの移り変わりを毎回実感します。

それでは海の中は?
感覚としてはかなり変わってきています。
とはいっても「ほんとうに?」「過去を美化しているんじゃないの?」疑惑もぬぐえませんので、ちゃんと調査として記録を残しておくことは大事なのです。
また、いろいろなトリーターが潜ることにもとても意味があります。人によって注目するポイントや見え方が違うので、八巻トリーターには八巻トリーターの視点での発見が、私には私なりの発見があります。たくさん発見があると伝えられることが倍々に増えます。これから潜るほかのトリーターの報告も楽しみです。

またの機会にもみなさまにご報告します。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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