2023年10月19日

豊潮丸 薩摩硫黄島ホウキガニ採集調査(6)
航海日誌 6日目/杉村

  • 期間:2023年10月14日(土)~10月20日(金)
  • 場所:鹿児島県三島村 薩摩硫黄島
  • 目的:薩摩硫黄島におけるホウキガニの採集調査
  • 担当:杉村・藤田


きょうは調査 6日目、いよいよ最後の調査です。
1週間が、あっという間に過ぎようとしています。

きのうには薩摩硫黄島を出港して、水深 200m付近でビームトロール調査をおこないながら、種子島の西之表港に入港。ビームトロールで採集された生物の写真をちょっと紹介します。大きさが 1~ 5cm程度で小さな生き物たちでした。

イボエバリア 甲長約 1.3cmイボエバリア 甲長約 1.3cm

イトグルマ 約 5cmイトグルマ 約 5cm

イボガニ 甲長約 1.5cmイボガニ 甲長約 1.5cm

ソデナシカラッパ 甲長約 2.2cmソデナシカラッパ 甲長約 2.2cm

今朝は、いつもより1時間早く7時には種子島の西之表港を出港して、水深 1,000m付近の海域へ移動しました。水深 600mと 50mを目標に ORIネットという、大きなプランクトンネットを使った曳航調査をおこないました。
水深は約 1,000m地点、中層域を遊泳している深海魚やプランクトンなどを採集して、その生息調査をおこないます。

深い方の ORIネットの中の多くはカイアシ類でした。
その中にはカエルアンコウの仲間(ハナオコゼでは?)の稚魚やホウズキイカの仲間などが、採集されました。
その他には、ハダカイワシの仲間やムネエソの仲間を見ることができましたが、採取された魚類のどれもが 1~ 3cm未満という小ささ。今回は潮流の関係もあって、目標の 600mまではネットが届いておらず、黒い系の深海魚を採集することはできませんでした。浅い方の ORIネットにはネズッポの仲間の稚魚やタコ類の幼生が採集されました。

タコの仲間の幼生 全長約 4mmタコの仲間の幼生 全長約 4mm

テオノエソ 全長約 2.8cmテオノエソ 全長約 2.8cm

ホオズキイカの仲間 全長約 1cmホオズキイカの仲間 全長約 1cm

採集後は、少しでも状態の良いときのようすを記録に残すために、航行中の揺れた船の中で何とか写真を撮影しました。数は多くはありませんでしたが、カエルアンコウの仲間やネズッポの稚魚など普段は見ることのできないような魚などに出会うことできた調査でした。

ORIネットの調査を最後に今回の調査の全工程を終了しました。
一緒の乗船している学生のみなさんも朝から夜遅くまで、自分の研究のサンプルを集めたり、水質の測定をしたり、みんな精力的に狭い船内を動き回っていました。
・・・私の学生時代には無かった経験をしているみんながちょっとうらやましく思いました。

あとは、呉港に向けて回航が始まります。
きょうはとても海況が良いので、船の揺れも大きくはなく、気持ちの良いくらいの揺れが続いています。あすもきょうのように海況が良いといいのですが。
今夜は、船内で反省会、今回の調査航海について最後の夜をみんなで語り明かしたいと思います。

それでは、きょうはここまで。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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