2024年02月05日

伊豆サンゴ調査

  • 期間:2024年2月5日(月)
  • 場所:静岡県南伊豆市 土肥
  • 目的:伊豆サンゴ調査
  • 担当:北嶋・加登岡


先日、伊豆半島の西側にある土肥でサンゴの潜水調査をしてきました。
伊豆のサンゴ調査は 2019年から下田海中水族館、筑波大学下田臨海実験センターと協働でおこなっています。
サンゴと一言でいってもいろんな種類がありますが、この調査の対象は造礁サンゴ類と呼ばれるサンゴです。
浅い海で(共生している褐虫藻が)光合成をして、炭酸カルシウムの骨格を持つ、沖縄の海などでサンゴ礁を作り上げるサンゴの仲間を指します。
サンゴ礁は島を作り上げるほどたくさんのサンゴが集まる場所ですが、暖かい海に多く見られる造礁サンゴ類は温帯域の伊豆ではサンゴ礁にまで発達しません。サンゴがぼつぼつと少しずつ塊で見られたり見られなかったりといった感じです。
どこにどんな種類のサンゴがいるのか、調査されている海もありますが、断片的な情報です。
そして、近年の海の暖かさで増えているのではという疑惑がわいています。それは果たして本当なのか、ということも含めて調査をしている次第です。
今回潜ってきた土肥は、潜って見ると砂地が広がっていました。砂地にはタコノマクラがたくさんいて、這ってきた痕が線で描いたように残っていました。蛇行しながら移動するんですね。生痕化石ってこんなふうにできた痕が残るんだな、なんて興味深くおもって写真をたくさん撮りました。

ホンダワラのような海藻の若い株が育ち始めていました。春になったらジャングルになりそうです。海藻が減っている海岸が多いので、このような光景には癒やされます。

サンゴの調査は一つの地点で 2本潜ります。 1本目はどんな場所でどんなサンゴがいるところなのかを全員で探索します。 2本目は 6名以上で手分けをしておこないます。 50mのメジャーを引く人、メジャーの上の数m間隔にあるものを記録する人、メジャー沿いにあるサンゴを全て記録する人、メジャーに沿ってビデオ撮影をする人、メジャーに沿って四角い枠を置いてその中を撮影する人、メジャーから少し離れた地点で大きな四角い枠をランダムに置いて写真撮影などをする人。それぞれの安全も確認しながら作業を進めます。作業に夢中になりすぎると背負っていたタンクの空気が無くなってしまったり、仲間とはぐれてしまうこともありますので、周りと自分自身を気にしながら作業を進めていきます。

作業の合間にかわいらしい生き物を見つけると、ついつい撮影したくなります。
こちらはオイランヤドカリに近い仲間かなとおもいますが、一部しか見えないので何ともいえません。サンゴの絨毯の上に乗っています。よく見るとサンゴのポリプに雑じってドロフジツボのようなフジツボが入り込んでいます。

大きなフタマタハマサンゴの群体。どうしてこんな風にせり出して増えてるのでしょう。沖縄トラフの鳩間海丘でみた熱水噴出孔を思い出す形をしています。ゴエモンコシオリエビいないかな?笑

こんなふうにミドリイシが海藻の合間にある大きめの石にちょこんと付着して大きくなっているのは、温帯域ならではの光景ですね。

調査を終えて岸に帰るまで水面を泳いで移動したのですが、クラゲがたくさん湧いていました。ツノクラゲやシダレザクラクラゲのようなクダクラゲやヒドロ虫の仲間など。
ピントが合わず写真には写せませんでしたが、いろんな種類がいました。
2月といえば海の中がとても寒くなる時期ですが、16℃以上あって水の中は温かかったです。季節来遊魚のフタスジリュウキュウスズメダイもいました。このようすだと冬を越しそうですね。
 この調査は、えのすいeco活動の一環としておこなっています。今回は駿河湾側でしたが、伊豆半島の東側はわたしたちのメインフィールドの相模湾に面しています。相模湾の環境を知る延長線上で駿河湾側も調べることで環境や生物相の比較をしたりすることができます。海は繋がっていますから、広い目で見ていかないといけないですしね。また、筑波大学下田臨海実験センターや下田海中水族館と一緒にやっているということもこの調査のポイントです。一緒にやることで作業の協力だけでなく情報交換などいろんな面でメリットがあり、継続してやっていくこともできています。これから5年前と同じポイントを調査していく2週目の段階にはいります。海の変化が記録できるはずです。またみなさまにはそのようすを伝えますので、次の調査をお待ちください。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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