みなさん、こんにちは!大下です。
先行して八巻トリーターより報告がありましたが、昨年に引き続き、三陸の藻場再生活動に参加した報告の第二弾となります。
私が報告するのは大槌町にある吉里吉里フィッシャリーナの藻場再生活動になります。
まず、吉里吉里と聞くと吉里(きり)が繰り返されるので珍しいなと思う方も思います。
由来は砂浜を歩くと「キリキリ」と鳴る「鳴き砂」のアイヌ語が語源にあるとのことです。
ここには昨年10月にも来て、藻場の保全活動に参加しました。保全活動によって、藻場が順調に再生している場所でもあります。
今回はアワビ、マダコの確認がメインで、併せて海藻のようすを見ました。
みなさんには各種海藻が繁茂している綺麗な海中の画像を提供できると思いましたが、当日は残念ながら、海中は非常に濁っていました・・・
前回は生えていなかったアカモクが生い茂っていました。アカモクが生い茂るきれいな海中を撮影したかったのですが、今回の濁っている海中で撮れる画像は、このぐらいが限界でした・・・
このアカモクは食べることができる海藻で風味や食感が良く、栄養も豊富な海藻です。
アカモクが海中で生い茂ることは産卵場所や幼魚の棲み家となるだけでなく、大気中のCO2を吸収してくれる役割も担っています。
潜水して早々に調査目的であるアワビとマダコを発見!
何と!マダコがアワビをひっくり返して捕食している最中でした。
「生い茂る海藻 → 海藻を食べるアワビ → そのアワビを食べるタコ」非常に良い連鎖が戻っています。吉里吉里で獲れるタコはさぞかし美味しいことと思います。
今回の潜水調査で私が確認できたマダコはこの1匹のみ、アワビは 15個でした。
吉里吉里フィッシャリーナには海と繋がっている水路があります。
この水路には地元の小学生がロープに植え付けたコンブが育ち、そのかたわらには普通にアマモが生えております。
海藻が育つ水路など、なかなか無いので、素潜りで八巻トリーターと私で入り、海藻の状況を確認しました。
コンブが非常に良い状態で育っています。葉の表面が非常につるつるしてきれいで付着物が一切ありません。
この時は干潮のため、水路の水位が下がり、流れがほとんどありませんでした。満潮時には水位が上がるのは当然ですが、水路で泳ぐには困難なぐらいの流れがあるとのことです。
そして、アマモです。
こちらも葉の表面がきれいで青々としており、葉が太く、状態が非常に良いです。
相模湾では壊滅的なアマモがここでは水路に普通に生えております。
アマモの展示を担当している私にとっては非常に羨ましい状況でした。
この水路についての率直な感想を言うと、海藻や海草を生育するうえで非常に適した環境です。
例えば全く同じ構造の水路が他の場所にあったとしても、同じように海藻は育たないと思います。
なぜ育つのか?は何とも言い難いですが、さまざまな要因が重なり合って、海藻が育つために良い環境になっているのでしょう。
一般の方々がぱっと見た感じでは普通の水路と思えるかもしれませんが、私から見れば奇跡的な水路です。
みなさんもご存じの通り、地球温暖化を防止するために、各個人やさまざまな会社が CO2 を減らす取り組みをしている中で、海中の海藻が順調に育って藻場が広がりつつある海岸、そして、すぐ隣にはコンブとアマモが育つ水路があるという吉里吉里フィッシャリーナは素晴らしい環境です。
そして、この環境を保全に努める大槌町や三陸ボランティアダイバーズは藻場保全だけでなく、地球温暖化を防止する活動への良いモデルケースだと思います。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。