みなさんこんにちは!八巻です。
今回は大下トリーターと、昨年10月に引き続き、三陸の藻場再生活動へ参加してきましたので、ご報告いたします。
私たちが江の島および三陸の藻場再生活動へ参加・協力するようになったいきさつは、前回のフィールド調査 三陸フィールド調査 をご確認いただけますと幸いです。
今回も三陸ボランティアダイバーズにお世話になり、前回同様の岩手県大船渡市三陸町の浪板海岸および、岩手県大槌町の吉里吉里フィッシャリーナで活動してきました
私は主に浪板海岸で活動した6月24日、26日のようすについて、書いていきたいと思います。
前回は藻場被害の要因が江の島と三陸で、それぞれ魚によるもの、ウニによるもの、と明らかに違う事がよくわかりました。また海の状況も、江の島よりもむしろ季節来遊魚が多く、まるで南の海のような“三陸っぽくない”現状も、とても驚きを持って実感しました。藻場の保全活動が水族館として意義深いのはもちろんのこと、江の島とは異なる海を見ることが江の島始め相模湾を深く知り伝えることにつながると信じています。
さて、今回はどんな海を見ることができるのでしょうか!
まずは活動1日目、6月24日の紹介です。主な目的は、前回10月に設置したスポアバッグの観察とワカメのスポアバッグの設置です。
1本目の海藻観察では、まずは前回設置したコンブについて観察しました。不思議と護岸のコンクリートには生えておらず、前回設置したスポアバッグを中心に所狭しと仮根が付着し1-1.5 mほどに見事に育っているようすが観察できました。
よく育っている一方で、葉の先の方は穴がたくさん開いており、「穴あき症」とのことでした。
実は今期の冬は水温が下がりきらず、6月に入って改めて水温が下がり始めたとのことです。今回潜った時の水温は14℃、かなり寒く感じます。前回10月に潜った時は20℃ですから、その差は歴然です。海の季節はやや遅れてくるということも、とてもよくわかりました。
ただ、その下がり方は例年とは異なり、冬の間に水温が下がり切らなかったことが、コンブの「穴あき症」の原因になっているようです。私たち人間含め、地球上の生物は地球環境の変化をただ受け入れるしかないということも改めて感じました。
一方で、今季からアカモクのスポアバッグも設置したそうで、既に大きな成果が出ていました。こちらはコンブが付着しないコンクリートに広く繁茂しているところも観察できました。
また、アマモ場についても改めて観察しましたが、こちらは明らかに前回よりも伸びており、少し前は花が咲いていたようです。
2本目では、ワカメのスポアバッグを設置しました。ワカメについては既にいくつかの場所で繁茂しており、そのめかぶを切り取ってスポアバッグに入れ、別の場所に取り付ける、という作業です。
一方で、ワカメについて、最近江の島では春先に岩全体に繁茂するようになっていますが、こちらの浪板ではそれほど数が多くないようにも感じました。それも地域差、海域差なのかもしれません。
このように、コンブ、アマモに加えてアカモク、ワカメ、それぞれ特性の異なる4種の海藻で藻場を再生、造成できていること、三ボラの活動のすばらしさを感じると共に、改めて三陸の豊かさを肌で感じました。三陸はリアス式海岸で山がとても近くにあり、陸からの栄養塩がダイレクトに海へ流れ込んでくるのでしょう。数少ない砂浜である浪板海岸の景色からも、それはよくわかりました。
25日の吉里吉里フィッシャリーナでの活動をはさみ、26日は浪板海岸での活動の2日目です。
この日に1本目は水中ドリルを使いました! コンクリートブロックにくぼみをつくり、そこに水中ボンドでU字ボルトを接着するという作業です。
水中でドリルが使えるの?と思いますが、エアタンクから出るエア動力として動くドリルがあり、水中での作業に使用される事があります。私たち水族館職員はかなり水中作業に慣れている方だと思いますが、このドリルを使うという作業はほとんど初めてで、とても難しかったです!
水の中では力強く押すとその分自分も後ろに下がってしまうので、フィンで水を蹴りながらドリルをコンクリートブロックに押し付けます。
これがなかなかうまくいかないものなのです・・・
とはいえ何とか穴を空け、無事U字ボルトを取り付けることができました。
このU字ボルトはロープを通したりスポアバッグを取り付けたりすることで活用していきます。
2本目は駆除するウニの一部を使ったウニ養殖の現場を観察しました。浪板海岸の横にある漁港の中に、円筒形のカゴとその周りにウニを放ってあり、そこに育てたコンブの一部を餌として与えることで、良質なウニが育つようです
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。