2025年07月09日

高知県生物採集 (2)
7月 9日(水) / 西川

  • 期間:2025年 7月 7日(月)〜7月 10日(木)
  • 場所:高知県
  • 目的:生物採集
  • 担当:園山・西川


前日のフェリーはほとんど揺れずよく眠れたので朝から元気いっぱいです。
きょうは今回の出張期間で一番重要な生物を採集する日。地元の漁師さんに協力してもらって船で生物採集ポイントまで向かいます。

私は高知県で潜水するのが初めてなので、どんな環境にどんな生物がいるのか見るのが楽しみでした。実際に潜ってみると、長時間移動して高知県と書かれた看板を見るよりも、はっきりと高知県に来たことを実感できるほど江の島の海とは違う環境が広がっていました。
テトラポットにたくさん付くトゲトサカ属の一種や水底にたくさんあるハードコーラルたち、水族を勉強するようになってから初めてみる南方の海は黒潮の影響を受けていることを実感する結果となりました。江の島周辺で見られないカワラサンゴやウミバラ、シコロサンゴ、オオスリバチサンゴなどが普通に生息していたんです。近年の水温上昇で一部減ってしまったと伺ったものの、私からしたら新しい世界でした。

サンゴの周りにいたニザダイやスズメダイ、ネンブツダイなどの魚類は江の島周辺でも見られるので変な感覚でした。他にもナガサキスズメダイの生息密度が江の島と比べられないくらい高いことや、所々でテッポウエビ属の一種がダテハゼ属の一種と共生している姿も印象強く残っています。

さて、今回は生物の採集も目的の一つです。
シュノーケリングで潜り、これらの環境の一部から水族館に必要な生物を採集します。
水深は最大で 10m程度、水面で息を整えてから潜り、水中で作業。まるで自分が水中の生物になったような感覚でした。トゲトサカ属の一種など目的の生物は無事に採集することができ、高知県の海から上がりました。高知県の海、お邪魔しました。

生物を採集すると必ず輸送作業もついてきます。
きょうは漁師さんの船の中や船の横に生物を入れたケースを浮かべさせてもらい、明日の輸送に備えます。毎度のことですが生物の輸送は緊張します。生物にとって採集時と同等かそれ以上のストレスがかかる可能性があります。特に今回は 9時間以上かけて水族館に帰らねばなりません。人も大変ですが、魚たちも大変なはずなので、なるべく負担がかからないように注意して輸送することにします。
みなさんに生物の本来の美しさや魅力が伝わるように、妥協せずできることは全てやるつもりです。展示に反映していこうと思うのでお楽しみに。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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