今回潜水したのは、小坪マリーナから4キロほど沖にある「オオタカ根」というポイントです。 1回のダイビングでその全貌を把握するのは難しいほど巨大な岩礁で、その周縁は 約 50mあるといい、頂上付近は水深 約 16m、根元付近は 水深 30m近くありました。
かつて先輩トリーターがこの場所に潜り、その環境を再現したのが現在の相模湾ゾーン 相模の海の水槽群 海岸水槽 逗子沖サンゴの水槽です。
現在私が逗子沖サンゴの水槽担当になり、キサンゴのレイアウト変更を含むちょっと大きめの展示替えをしたいなと思ったのですが、直近で逗子沖に潜ったのが約5年前と、最新情報だったはずの写真データはやや古い情報になってしまっていました。
そこで今回改めて、展示更新用の最新情報を収集するため、逗子沖初潜水の園山トリーターと潜水調査に行ってきました!
実は今年度の初めからずっっと計画していた逗子沖潜水調査。 すっかり夏本番の8月になりましたがようやく実現しました…!
天候は晴れ、気温 34℃、南風がやや吹き日差しが照り付ける中ボートに揺られ、潜水ポイントのオオタカ根を目指します。 (私は水族館に帰ってからみんなに指摘されて、顔だけ真っ赤に日焼けしていることに気づきました。)
いざ潜水を開始すると、水中は夏の相模湾らしい緑色の濁りであたり一面包まれます。
水深が深くなるにつれ濁りも少なくなっていき、急に視界がクリアになったと思ったら根の頂上はすぐそこでした。
表層の水温は 27℃もあったのに水底の最低水温は 19℃と随分な温度差です。
ですがそんな肌寒ささえ吹き飛ぶような光景が次々に飛び込んできます。
キンギョハナダイ、ネンブツダイ、他にもタカベやイサキ、ムツ、マイワシなど根の頂上はとにかく魚影が濃い!
そしてその周りには色とりどりのソフトコーラルが生息しています。
根の側面に沿って水深を下げていくと、、、 お目当ての生物がいました。
岩肌いっぱいのキサンゴの仲間です。
ここのオーバーハングした岩肌には昔と変わらないようすでキサンゴの仲間をはじめ、八放サンゴの仲間など多くの無脊椎動物がいました。
さらにその八放サンゴの仲間にウミシダ類やナシジイソギンチャクが付着していたりオルトマンワラエビが隠れていたり、江の島では見たことがないトサカの仲間がいたり、、、とにかく拾わなければならない情報が多いのです。
デジタルカメラとアクションカメラの計2台持ちで撮影フル稼働です。(笑)
現在の逗子沖サンゴの水槽にいる生物といない生物を確認して、今の環境を水槽で再現するならどんな展示にすると効果的だろう、などといろいろ考えながら潜って撮影していましたが、個人的にちょっと感動したのがこのサンゴです。
現在の逗子沖サンゴの水槽にも展示している地味なサンゴです。 ですが自然の海の中で実物を見たのは初めてでした。 いえ、実はこれまでも見ていたけれど気にも留めていなかったのだと思います。 トリーターなのにそんなことも知らなかったのかよと言われちゃいそうですが、相模湾ゾーンを担当する以前の私では気づけなかった存在に、図鑑もスマホも使えない海の中で、自力で気づけたことがうれしかったのです。
自分の目で見ると、本で読んだだけ人から聞いた話だけの知識より記憶に残って、本物の知識になると実感します。
お客さまに生物の魅力を伝えるためには、やはりフィールドに出なければいけませんね。
そして今回ウツボもたくさん観察されたのですが、天井がオープンになっている逗子沖の水槽で飼育するのは少々リスクが高いので、残念ながら展示候補には挙がりません。
ですが、昔に比べて最近はレアな存在になってしまったと感じるコケウツボが観察できてうれしかったです。
今回の調査をもとに、実際のようすにより近い環境を再現できるような展示にしていきたいと思います。
これから展示替えの計画を練っていきますので、今後の逗子沖の水槽にもぜひご注目ください!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。